大黒様 | 八ヶ岳 随筆 亀盲帖

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曲草閑人のブログ

 今回の年末年始も前回同様仕事だった。自分は12月29日より1月2日まで、よーこは12月31日より1月3日まで、それぞれが出勤していた。二人揃ってお休みになったのは1月4日からである。

 

 大晦日から正月三が日が仕事となると、正月気分なんてものはない。年を越した、新年を迎えた、という感覚はなく、ただ日常が続いているに過ぎない。

 

 でもやっと二人ともお休みになったのだから、形だけでも初詣に行こうということになり、4日に出かけた。実際は、フィールド・ワークと称して、年がら年中彼方此方の神社を参拝しまくっているので特別なことではないが、初詣として参拝するのは毎年決まった三社である。

 

 初めに北野天神社。もののけハウスの氏神様である。神社は正月飾りで彩られているものの、流石に4日ともなると、境内には誰一人居なかった。

 

 <北野天神社 鳥居と参道>

 

 <北野天神社 拝殿>

 

 

 次に向かうのは大滝神社。八ヶ岳からの清らかな湧水が滾々と湧き出る神社で、この辺りでは最も重要な神社だと言われている。近くにはミシャグチ神が降臨する「神供石」があり、古代から信仰された聖地だ。ここには数組の参拝客が居た。

 

 <大滝神社 拝殿>

 

 

 最後に参拝するのは身曾岐神社。明治時代に成立した古神道の神社で、所謂新興宗教になるが、怪しい神社ではなく、とても気持ちの良い人気ある神社。お正月は賑やかに多くの屋台が並び参拝客でごったがえす。4日であるこの日は、すでに屋台は一軒も無く、ちょっと残念だったが、参拝客は非常に多かった。

 

 <身曾岐神社 本殿>

 

 

 自分は、身曾岐神社で参拝が終わった後、おみくじを引くのが通例だが、よーこはおみくじを引かない。それぞれの考え方があるので引こうが引くまいが何の問題も無い。因みにおみくじは「小吉」であった。当たり障りのない、如何にもおみくじらしい文言が印刷されており、読み終わってすぐにおみくじ結び縄に結びつけた。確かに、引いても引かなくても、どっちでもイイ感じで、実は引かないよーこが正解かもしれない。

 

 これでいつもの初詣は終わった。さあ帰ろうかと言う時、よーこが急にしゃがみこんだ。

ん?どうした?

すると、よーこは立ち上がって、「コレ!ひろった!」と言って手のひらに乗せた何かを見せてきた。

ん? どれどれ、なになに? えらく小さいな、何だ?コリャ。

えええー! どひゃっー! スゲー!

ナント! それは、金色に輝く、大黒様ではないか!初詣に来て神社の境内の玉砂利の中から金の大黒様をひろうなんて!こんなことホントにあるんかーい! 

これには二人ともビックリであった。なんという出会い、なんという奇跡、なんという縁起の良さ!

 

 実際にはこの大黒様は、ご存じの方も多いと思うが、300円ほどのおみくじの中に入っているオマケの縁起物の大黒様であることは一目瞭然である。つまり、300円のオマケ付きおみくじを引いた誰かが、うっかり落したか、いらないからと言って捨てたものか、という推論が出来る。しかし、我々は別のパターンを考えた。コレは、「自らよーこのもとに現れた奇跡の大黒様」だと結論付けたのだ。縁起の良い事この上ない。

 

 おみくじを引いた自分は変哲のない小吉であったが、おみくじを引いていないよーこは大大大吉である。今年は想像以上の素晴らしい一年になること、間違いなし。

 

 <自らよーこのもとに出現した黄金の大黒様>

 

 

 おことわりしておくが、この大黒様は、その意志によって自らよーこのもとに現れたのであるから、落し物ではなく、元々よーこのものである。

だから当然、落し物として届けるなどという愚行はしない。そんなことをしたら、それこそ神罰が当たる。