やかん | 八ヶ岳 随筆 亀盲帖

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曲草閑人のブログ

 今アトリエで使っているアラジンのブルー・フレームという石油ストーブは30年近く前に買った。もちろん現役でしっかり部屋を暖めてくれる。しかし、八ヶ岳の森の中にあるアトリエは冷え込んでおり、アラジンが元気に燃えてくれても部屋全体が暖まるのには30分はかかる。今どきの新製品のヒーターならすぐに部屋全体が暖まるのかもしれないが、我が相棒は30年選手。こればかりは仕方なく、じっと待つしかない。

 

 < 我が相棒 アラジンのブルー・フレーム >

 

 ストーブには保湿の為に水を入れたやかんを乗せる。家にもやかんは幾つかあり、空いているものを使っていた。しかし、もっとアラジンに良く似合う、自分好みのやかんが欲しくてずっと探していた。新品ではなく、ちょっと古い、レトロなものが好みだ。だからと言って、イギリス製やドイツ製のアンティークのような高価なものが欲しいわけではない。また見た目がオシャレで可愛くても、傷やへこみでボロボロの穴があきそうなものは却下される。

 

 夏が終わり秋が来て、そろそろ冬支度だなと思い始めた頃、通りすがりにアンティーク・ショップやリサイクル・ショップ、古道具屋などがあると、必ず立ち寄ってやかんを探す。しかし今までそういったお店でやかんが有っても、帯に短し襷に長しといった感じで、「おしいなぁ~、ここがもうちょっとこうだったらなぁ~」などという思いが巡るばかりで、購入には至らなかった。そして冬がおわり、春が来るとやかん探しを忘れてしまうのだ。そんなこんなでやかん探しも3~4年経っただろうか。そしてこの度、ついに御眼鏡に叶ったやかんに出会えた。

 

 

 < 一目で気に入ったやかんがコレ >

 

 < アトリエによく似合うと思う >

 

 既に生産はされていない、昭和レトロの香り漂う、純日本製のチョイ古やかん。実は自分の頭の中でうすぼんやりと描いていたやかんとは、イメージがかなり違うのだが、見た瞬間に「コレダ!」と直感した。お値段も予算内で、迷うことなく購入決定。今まで探していて「コレダ!」と思ったことが一度もなかったからである。

 

 

 < うん、ブルー・フレームとの相性バッチリじゃないの >

 

 新しく我が家に来たチョイ古やかんを、そっとアラジンに乗せてみる。うん、合格。この子は、アラジンのブルー・フレームに良く似合う。これで数年に及んだやかん探しクエストは、無事クリアしたのであった。

 

 

 < ほ~れブーシカ、あったかいだろぉ~ >