お薦めスポット:「長谷川等伯・久蔵の障壁画が凄い~智積院」
今回は、1級合格者の竹原信次さんから、
寺院参拝の際のもう一つの楽しみ、絵画の鑑賞について
ご紹介いただきます。
京都の寺院を参拝させていただくとき、
建築、庭園、仏像とともに楽しみにしているのが絵画です。
今回、ぜひお勧めしたいのは、桃山時代の傑作、
智積院(ちしゃくいん)の国宝「桜楓図」です
七条通の東のどんつき、東山七条の交差点に、
荘厳な雰囲気を漂わせる総門が見えます。
これが真言宗智山派総本山智積院です。
総門前を少し下がったところから境内に入ると一転、
大寺院らしい明るく開放的な様相が広がります。
その一角に宝物館(収蔵庫)に、国宝「桜楓図」は保管されています。
「桜楓図」は、本年1月に第148回直木賞を受賞した、
『等伯』(安部龍太郎著)でも描かれた、長谷川等伯・久蔵親子の作品です。
『桜図』は、久蔵25歳の作で大胆な構図と山桜ののびやかさに、
新鮮な若々しさが残ります。
しかし、その翌年、惜しくも久蔵は急逝します
『楓図』は、久蔵を失った悲しみの中、等伯が描いた作品で、
息子への哀惜と新たな自己の生命力を問う、精魂込めた大作です。
迫力ある筆使いに、ただただ圧倒されます
竹原信次
(滋賀県在住・京都検定1級合格者)