陰謀哀話。 | 境界線型録

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I Have A Pen. A Pen, A Pen Pen Pen.


 午後、9月下旬からの新聞をチェックしたが、激動の一ヶ月だったと改めて感心した。6月に誕生したばかりの菅政権は揺さぶられ続けだが、この2ヶ月はたいへんだっただろう。依然として私は中国船長釈放は最悪のミスだったと読んでいるが、改めて報道を眺めると、実にひどいタイミングでの釈放だったと驚く。日本人4人拘束の直後の判断。あの釈放は政治的な判断だろうと言われることが多いが、実情はわからない。読み方は色々ある。菅政権を追いこむためのオプションとして使われていたとしてもおかしくはない。過ぎたことだが、確かなうで他の領土問題に広がらないように気をつけなきゃみたいなことを呟いたが、ちゃっかりメドベージェフが便乗した。中国もロシアも基本は内政の脅威に動かされてやっていると思うが、すべては日本の行動が引き起こしたこと。中ロはちょうどいいエサを鼻先に差しだしてもらったから食いついたに過ぎないだろう。ロシアは12年にプーチンが返り咲くと北方領土問題は、また振り出しに戻るのか。すべて身から出た錆。
 もっとも、国際はもう大国同士の戦争には走らないだろう。人類はそれほどアホではないだろうから。途上の規模だけ大国にしてみれば、あらゆる機会を捉えて、甘い汁を吸おうとする。関係をこじらせる気はないはずで、いかに自国に有利なインセンティブを引きだすかだけが狙いではないのか。
 もうすぐ横浜でAPECが始まり、日本はTPPにも参加するしかないのではないか。この一連の流れを見ても、あの船長釈放は甚大なヘマだったと感じる。アドバンテージは奪われた。

 けれど、TPP参加が国内の農業に壊滅的打撃を与える、という論には首を傾げざるを得ない。
 それは保護主義でやって来たせいであって、だいぶ前に自民は今日の状況を避けられないと判断して農業の大規模経営を進めようとした。すでにわかっていたことだ。大規模経営化には大反対だが、頭が固すぎるのだろう、日本の政治行政は。
 TPP参加に思いを巡らせていて、ひとつ農業陰謀を思いついた。ちょっと発想を整理して、農業陰謀に取り組んでいる知人にアイデアを持ちこもうと思う。無償奉仕だけど、アイデアを作るのが愉しい。
 国内でもファーマーズマーケットなどが盛んになってきて産直販売が日常化してきた。が、私はこの現象はけっして良いものだとは思わない。なぜかというと、ホワイトカラーだらけの日本で雇用を作り、多くの国民の生計を支えているのは、中間流通だから。商社とか問屋とか販社とか。かなり通販社会になってきたけれど、やはり大半の国民の生活を支えているのは、マージン商売だろう。そんなものは端折ってしまうのが理想だと思いはするけれど、そこを潰してしまったら、格差は鉄砲水みたいに急激に押し寄せる。生産者直売は、ありがたいことだけど、現状で拡大すべきことではない。やるべきことは、生産と中間流通と小売りを有機的に結び、同時に国内に国産を消費する意義を徹底して啓蒙することだろう。格差を拡大させず中期的に日本経済を救い得るのは、そういう手法ではないか。そんなに難しいことでもないだろう。そうすれば国内を富が循環しだすはずだ。

 競争力には幾つかの方向性がある。自由競争市場、金融という世界では、規模が幅を利かせる。これは最悪といって良い。格差は広がり必ず固定される。言うまでもないと思うが、持てる者が常に勝ち得る構造だからだ。実際は、そういうのは競争社会ではない。勝負はほぼ決まっている競争なのだから。
 公正な競争というのは、規模や力の大小強弱に係わらず、何れが勝つか負けるか予測不可能という状況でこそ成立し得る。プロ格闘家と小学生を闘わせるような競争を、今日は平然と「公正な競争社会」と呼んだりしている。そういう中で勝ち上がるものは、どこかで必ず不正をしているだろう。経済的ダーティーヒーローを支持する人は多いけど、なにか小ずるいことでもやらないとのし上がれない。その小ずるさを不様と感じない価値観が根付いてしまったから、経済ヒーローは誕生する。それだけのことだが、その価値観がもっとも醜悪でぶっ潰すべきもの。

 そうだ、梅の木に洞ができていたので記念撮影したのだった。貼っとこう。

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 闘争で生き残るためなら、相手の虚をつく、裏をかくという戦法は欠かせない。それは正しいことだ。殺し合いとなれば、忍者は平気で目つぶししたり蒔きビシを使ったりする。生き残るためなのだからしかたない。けっして卑怯なことではない。それが必要だからやるだけで、批難されるものではない。私は幼い頃から忍者になりたかった。
 けれど、今は生死を賭している時代ではない。たかが富裕になるために、誰かを自殺に追いこむ恐れもあることに思いを致さないと。平和に暮らしているサラリーマンでも、無自覚に誰かを彼岸に追いこんでいるかもしれない。私も殺人者の一人かも知れない。そういう時代になってしまったのではないか。

 こんな記録をするつもりではなかった。間違えた。夕方には熊とマングースのことを書こうと思っていたのに。生物多様性はやはりあまりピンとこないらしくCOP-10は盛り上がらなかったなぁ、とぼやきたかったのだった。これこそ、百年後を方向付ける最重要課題なのに、どうも情けない。
 ま、来年こそ人々の口に上るように陰謀しよう。