予習をしていると単語がわからないと辞書を引くだけでいいが、どういう和訳になるのか、文法的にどうしてもわからないものがでてくる。
→それはね、文法の問題ではおそらくない。
そうではなくて、日本語の問題なんだよ。
普段から自分で文章を書くことをしていないと、他人の文章を訳すこともうまくできないんだね。
次の文章を良く吟味したまえ。
外国語という「道具」を手にする前に修得しておくべきことは次の三つ。第一は、哲学や歴史に代表される一般教養(英語で言うリベラル・アーツ)を学ぶことで育成される人格の形成。第二は、自らの言に責任をもつ習慣。第三は、完璧な母国語の修得。これができていないと、いかに外国語に巧みでも外国語を話すサルになってしまう。
(塩野七生 『ローマの街角から』 新潮社 2000年 pp.257-258)