『新必殺仕置人』第1話「問答無用」(下注釋)では寅の会で主水が仕置の的になった。頼み人は主水の上司だったが、寅の会の中に主水と旧知の鉄がいて、鉄が主水に報告し、主水がその上司を斬って「依頼人死亡で取消」になった。
旧『仕置人』『仕事人』『仕業人』では主水たちが故人の恨みを晴らしていたが、『新仕置人』では頼み人が故人だと依頼は成立しなくなったらしい。
 
裏稼業に仕置を依頼すると、逆に仕置の標的に依頼がばれ、依頼人が仕置人(または標的自身)によって粛清される危険もある。
 
『新必殺仕事人』最終回「主水仕事仕舞いする」(下注釋)では秀が10年前(下注釋)に初めての裏の仕事で殺した偽医者の娘が加代に秀殺しを依頼。娘は秀の仕事を見ていたのだが、加代が仕事料を貰った以上、娘にしてみれば依頼成立のはず。それで勇次が娘の命を狙うようでは、依頼人としてもたまったものではない。
 
こうして見ると仕置人や仕事人に仕事を依頼するのは、非常に危険な行為である。
『必殺仕置屋稼業』の最終回「一筆啓上崩壊が見えた」では市松が仕置した相手の身内が頼み人を割り出して拷問にかけようとし、頼み人が口を割って、おこう(演:中村玉緒)が狙われる結果となり、最終的におこうと印玄(演:新克利)が殉職。市松は奉行所に捕えられ、主水がわざとヘマをして逃がし、牢屋見廻りに格下げされた。
 
『仕置屋』の最終回と『仕業人』の最終回(「あんたこの結果をどう思う」)は仕置人によって仕置された側の身内が仕置人に復讐する過程がテーマになっている。『仕業人』の第27話「あんたこの逆恨をどう思う」では合法的に処刑された盗人の仲間が奉行所を逆恨みし、主水の留守中に中村家を襲撃したものの、戻った主水と剣之介、又右衛門によって返り討ちにあったことがある。初めから裏組織を標的にした報復はこれでは済まないだろう。
もし『仕留人』の最終回「別れにて候」で糸井貢が生き残り、大吉とおきんが江戸に残っていたら、仕留人グループが別の刺客から命を狙われていたかもしれない。
 
奉行所は何度も仕事人狩りを試みたが、天保の改革のとき、水野忠邦が鳥居耀蔵に「仕事人狩りもほどほどにせんと命がいくつあっても足りんぞ」と言っていた。闇の会に鳥居の仕置を依頼したのは先の南町奉行・矢部駿河守だった。鳥居失脚から5年後、大奥が「家定の双子の弟(実は妹だったが大奥では男と誤解)」を消す仕事を仕事人に依頼していた。
 
もし奉行所が裏稼業を撲滅したかったら、依頼人も同罪にすればよかったのである。
奉行所が裏稼業の仲介人を偽装して依頼人と仕事人を罰すれば、依頼する人は奉行所の追求を恐れて依頼をしなくなるし、仕事人も依頼を奉行所の罠だと思うだろう。
『新仕置人』最終回「解散無用」で己代松が捕まったとき、『オール江戸警察』で加代と太棹の新之助が捕まったとき、主水が裏切ったのではないかと疑われても不思議はなかった。
何しろ、『新仕置人』で主水は仕置の的(おそらく複数)を捕え、鉄と松によって粛清されかけたし、『江戸警察』ではまず闇の会に「旗本くずれ」黒川伝九郎を仕置する依頼があったものの、結果は剃刀の辰が捕縛され、次に矢部駿河守が鳥居暗殺を依頼したら太棹の新之助と加代が捕縛されたのである。これでは主水が裏組織から疑われる可能性が大であった。
 
平成25年tw

「新仕事人」最終回で8年前または10年前に秀の裏仕事を目撃した少女・お藤は加代を通じて仕事人に仇討ちを依頼した。一方、「仕事人IV」最終回で秀の仕事を目撃した少女は奉行所に報告したらしく、秀の人相書が出回った。この違いはなぜだろうか。

/午前11:01 · 2013年3月10日/

 

「新必殺仕置人」第1話「問答無用」と「新必殺仕事人」最終回「主水仕事仕舞いする」の2つの物語では、江戸時代の裏組織に仕事を依頼した頼み人が逆に裏組織から命を狙われるという展開が共通している。罪深い稼業だけに頼む方にも危険がともなう。

/午前11:06 · 2013年3月10日/

 
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前後一覧
西暦2012年5/8前後/
 
関連語句
寅の会(内容検索)

注釋 
『新必殺仕置人』第1話「問答無用」
寅の会の側で鉄・主水・松・正八・おていのしたことをまとめると、寅の会で同心が的になり、落札した仕置人と別の仕置人(鉄)が的(主水)にそれを密告し、更に鉄に仲間(己代松)が「頼み人が死ぬか依頼を取り下げれば刺客は来なくなる」ことを教え、的(主水)が頼み人(与力的場)を斬ったということになる。主水を仕置する仕事を落札した仕置人のうち、一人は主水の取引を持ちかけて死神に粛清されたが、残る2名は主水がいた小屋を襲ったところ、待ち構えていた鉄と松によって返り討ちに遭っている。つまり仕置人グループの中に仕置の標的の仲間がいて、秘密裏に密告して、仕事をしようとした仕置人が逆にやられたのと同じである。
これは『仕事人大集合』で勇次が敵に捕らわれたケースと似ている。鉄は虎や死神から信頼されていたが、裏の裏では寅の会を裏切るようなことをしていたわけだ。大黒摩季の歌「ら・ら・ら」にあるように裏の裏は普通、表であるが、ここでは裏の裏も裏であった。
 
「主水」のあとに「、」があったか、「仕舞する」か「仕舞いする」か、確認必要。
 
10年前
『仕事人IV』の特番『仕事人アヘン戦争へ行く』の舞台が1842年の日本と香港で、その当時から10年前と假定すると秀の初仕事は1832年。翌1833年に秀は『必殺まっしぐら!』の出張仕事をしていた。詳しくは 飾り職の秀が「闇の仕事人」になったのはいつか と 仕事人・秀の「10年前」はいつか を参照。

参照
平成21年
/飾り職の秀が「闇の仕事人」になったのはいつか(「10年前」の場合)/

 

仕事人・秀の「10年前」はいつか/

 

平成22年

/仕事人・秀の年齢【壱掛】/

 

/仕事人・秀の年齢【弐掛】(もしも秀の年齢が三田村邦彦の年齢と同じだったら1)/

2010-04-14 14:30:35

 

/仕事人・秀の年齢【参掛】(【弐掛】に関する解説)/

 

/仕事人・秀の年齢【仕掛】(1820年、1830年、1840年で30歳)/

 

/仕事人・秀の年齢【伍掛】(1850年で30歳の場合を追加して4種類)/

 

平成25年

/飾り職の秀が「闇の仕事人」になったのはいつか(「8年前」の場合)/