もともと『水戸黄門』は数か月の休止を挟んで、間は『大岡越前』『江戸を斬る』『怒れ!求馬』などが続き、2001年の「こちら第三社会部」以降は現代劇だった。
それで2009年から今年2011年まで『ハンチョウ~神南署安積班~』が続いていた。

だからもし『水戸黄門』が第43部が終わりでなかったとしても、年明け後の2012年1月から現代劇が始まることは変わりがなかったはずだ。
『ステップファザー・ステップ』(下注釋)は位置づけとしては『ハンチョウ4』の後継になる。
12月12日が当初予定されていた第43部最終回で、19日にスペシャルが追加されて、これが事実上の最終回となり、2011年12月26日と2012年1月2日はいずれも夕方6時から9時近くまで2時間半のバラエティ番組が放送された。テレビ局にとっては安上がりで時間を使える手法である。これで視聴率が高ければ、民放の夜は長時間のバラエティ番組だらけになる。

18:30~20:54 炎の体育会TV2011冬 今田耕司格闘参戦SP
www.tbs.co.jp/tv/daily/20111226.html

18:30~20:54 新春!鶴瓶生誕60周年 酒だ笑いだもって来い 大新年会スペシャル!!
www.tbs.co.jp/tv/daily/20120102.html

鶴瓶は『水戸黄門』の裏番組のレギュラーだったが、新年特番で鶴瓶を起用したTBSも商魂たくましい。

1月9日から『ステップ~』が始まる。
『ステップ~』の次の現代劇が名実ともに『水戸黄門』の後継作品となるだろう。

上川隆也は『大地の子』の陸一心役で、父親役は仲代達也、母親役は田中好子が演じた。

もともとナショナル劇場は現代ホームドラマを放送していた枠であり、パナソニックドラマシアターとしては現代劇枠こそ本当の姿だろう。
『ステップ~』は『水戸黄門』の後継というより、『七人の孫』や『あんどーなつ』『ハンチョウ~神南署安積班~』などのナショナル劇場の現代劇の流れをくむ作品である。
『水戸黄門』で始まって『水戸黄門』で終わった「ナショナル劇場の時代劇」は松下幸之助個人が築いた一時期のボランティアでありサービスであった。
民放の番組は視聴者の意図でなくスポンサーの意図で制作や継続や終了が決まるようだ。『機動戦士ガンダム』の場合、内容的には中学生以上が対象だが、スポンサーは玩具を買ってくれる小学生以下を希望したため、制作側はスポンサーにこのアニメを小学生向けと説明したらしい。
『必殺仕事人』が2007年からジャニーズ中心の時代劇になったのは、スタッフが視聴者でなくスポンサーに配慮した結果だろう。從来の必殺ではスポンサーは高齢者向けの番組と見なして敬遠する。そこでスタッフは中村主水を除くメインの出演者をジャニーズにして、女の子向けの時代劇としてスポンサーにアピールしたのだろう。
1980年代にも必殺のBGMを集めたレコードが出たとき、劇場公開のときなど、『水戸黄門』を例にして必殺の視聴者を中高年と決めつける人が多く、レコード化や映画化に否定的な意見が多かったらしいが、現状は今も変わっていない。むしろ、今こそ必殺のファンは中高年が多い状況かも知れない。柳田理科雄も『必殺!三味線屋・勇次』の映画を観に行ったとき、周りに高齢者が多かったと書いている(『空想科学読本3』)。
└→『水戸黄門』と『必殺仕事人』【壱】

松下電器は年齢が30代前後の「若い」大人を対象購買層としており、『水戸黄門』のファンには寝たきりの老人(おそらく80歳前後か80代以上)が多いと知りながら、40年ほど、ナショナル劇場枠での時代劇を続けてきた。むしろそのほうが賞讃に値するし、無理をしてきたと言っていいだろう。

2012年1月6日の時点でTBSの『ステップ~』公式HPとGyaO!で「エピソード0」が配信されている。
また、有料のGyaO!ストアでは月形龍之介の時代の『水戸黄門』の配信もある。
ナショナル劇場の『水戸黄門』『江戸を斬る』はTBSチャンネルで配信中。
東野英治郎のシリーズのDVDも出ている(381話のはずだがDVDで話数が少ないのは自粛か)。
インターネットとDVDの普及、テレビの地デジ化で『水戸黄門』の本放送は役割を終えたと言えよう。

前後一覧
2011年11/17 11月

関連語句
ステップファザー・ステップ ステップファザー・ステップ 水戸黄門
水戸黄門 宮部ドラマ(twitter)


注釋
『ステップファザー・ステップ』
「ステップファザー」は「ステップファーザー」ではないらしい。
father [fɑ:ðər] を日本が發音すると「ファーザー」[Φa:za:]になる。
stepfather は step が第1強勢、father の fa- が第2強勢になるようだ。
step- がついても fa- が短くなるわけではなさそうだ。
小学館のプログレッシブ英和辞典で調べると [step-fɑ:ðər] で、やはり fa- は長く發音されている。
goo辞書で stépfàther を調べると、本来、發音記号が来るはずの [ ] に綴りが書かれてある。
stépmòther でも同様で、合成語の場合は綴りだけで充分という判断だろう。

fastfood を日本式に發音した「ファストフード」と「ファーストフード」の関係にも似ている。

英語の fast の發音に2種類あるので、fastfood も2種類の發音になる。

fastfood ……… [fɑ:stfu:d]
fastfood ……… [fæstfu:d]
ファーストフード…[Φa:stoΦu:do]
ファストフード … [ΦastoΦu:do]

よく考えたら father の -ther は短いので「ファーザ」とすべきでは?
step の p も「ステップ」のように促音にする必要はない。
すると stepfather step は「ステプファーザ・ステプ」か?

Jurassic Park の Jurassic は綴りから見て「ジュラッシク」のはずだが、日本では「ジュラシック」である。
外来語の表記は理論どおりにいかないことが多い。


参照
2011年11月(綜合)