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手塚プロダクション公式チャンネルにて
『どろろ』全26話
4/2(火)14時まで期間限定無料配信中



前にも書いたが93年5月に池袋のミニシアターにて、13話ずつ2回に分けてオールナイト上映された時に初めて視聴して以来の再視聴。
もともと原作である手塚治虫の漫画のファンなのだが、最初のアニメ版は途中から原作とは別物として原作以上の傑作だと思う。
途中から原作とは違うオリジナルのストーリーになっているため、ただでさえ1話から原作には出てこないキャラクターがレギュラー出演しているのに、
視聴率不振のテコ入れによる路線変更もあり、
もうこれは別物だなと冷め始めてからも、
時折今回は面白い!と唸らせてくれる。

本作はカラーテレビとカラー放送があった時代に作られたアニメだが、血飛沫が飛ぶ残虐描写があることからカラーでは放送できないと企画段階で
局からクレームがついたのを理由に、子供向けだが大人びた背伸びした作風を志向したい制作側は、喜んでモノクロ作品にすることを提案。
怪奇時代劇アクション物の世界観にピッタリな良い判断だったと思うが、テコ入れするも26話で打ち切りとなっている。

今回手塚プロダクションのYouTubeで全26話をあらためて視聴したが、比較的に原作の漫画に近い流れだった13話までは文句なしに傑作!!
「白面不動の巻」は原作でも特に好きな話なので、前半の感動がピークに達した。
しかし14話からテコ入れが入って作風が明るくなり、どろろが騒動を起こして妖怪に襲われたところで百鬼丸が妖怪を退治するのがパターンになってからは、妖馬ミドロの16話、まいまいおんばの21話の2本が突出して面白い他は、それなりに面白いけど、どろろとノタ(原作には出てこないオリジナルのレギュラーキャラクターで犬)を軸にしたバタバタ感が騒々しく感じる。
テコ入れでドタバタコメディにしているのはわかるが、ハードでシリアスな作風の方が好き。
ミドロを退治した後、百鬼丸が生まれて初めて涙を流す場面では13話ぶりに感動だった。

主題歌と劇伴を担当した冨田勲の音楽も、
和楽器と男性コーラスが最高!
30年前は主題歌しか記憶に残らなかったが、
サウンドトラック盤が欲しくなった。

そして特筆すべきは最終回である26話!!

もはや手塚治虫の原作とは別物であり、
手塚より石ノ森章太郎に近いと感じる作風は、後の『海のトリトン』にも通じる、手塚治虫だったらこうは描かないだろうな部分が良い。
打ち切りが決まって急いで48体の魔物を倒そうとする流れと、どろろと百鬼丸の物語をキレイに終わらせる流れの合流が素晴らしい!!
この最終回はTVアニメ史に残る傑作だと思うし、1969年(昭和44年)にこれだけの傑作が作られていたことにあらためて衝撃を受けた。

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