産寧坂、二寧坂、そして霊山歴史館(後篇) | 京一花日記帳

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後篇です。


二寧坂を下りきると、いよいよ、「維新の道」です。

鳥居をくぐり、坂を上っていきます。


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少しすると、左手に、立派な石碑です。


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国事に命を捧げた維新志士を祀るための霊山護国神社は、意外に早い時期につくられたのですね。

ここに祀られているのは、いわゆる尊王攘夷派、つまり新政府側であった方々。
対応が早いのは、当然といえば当然でしょうか・・・

一度は整備されながら、戦争によって荒廃していたこのあたりを再整備したのが、明治100年にあたる1968年に発足した、「霊山顕彰会」の方々です。

京都の有志らが、関西の財界人に協力を求めて設立したそうです。


その関西の財界人の中心人物が、ご存知、松下電器(Panasonic)初代社長の松下幸之助氏であったため、幸之助氏が霊山顕彰会の初代社長に選ばれたのですね。堂々とした石碑の文字が印象的です。


ちなみに、霊山歴史館の運営も、霊山顕彰会の活動の一環だそうです。


さて、「維新の道」をはさんで、反対側には、


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翠紅館(すいこうかん)跡です。


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ここに表記はありませんが・・・

翠紅館と呼ばれた屋敷は、もともと正法寺というお寺の一部でしたが、 天保年間(1830~1844年)に、「西本願寺」の所有となりました。

ここから見える景色が絶景であったことから、大切なお客様を接待するのに利用されていたそうです。


文久3年(1863年)、尊王攘夷派の志士が密会を開く場所として、西本願寺のご門主(住職)が、屋敷内の2つの間を攘夷派志士らへ提供されました。

西本願寺が、攘夷派を支持していたのは、本当だったのですね。


 ※西本願寺といえば、新選組の屯所だった場所として有名。新選組が西本願寺を屯所としたため、その代わりとして、攘夷派へここを提供したのかな・・・

と思ったら、新選組が壬生から西本願寺に屯所を移すのは、それから2年後の1965年でした。


それ以来、この翠紅館は、尊王攘夷派志士らの会合場所となります。

有名な「翠紅館会議」(1863年1月27日、6月17日)が開かれたのも、こちらです。


1月の会議では、前年に孝明天皇が将軍家茂に攘夷実行の勅書を出したにも関わらず、 一向に具体的進展を見せない幕府に、どう攘夷実行に踏み切らせるかを、

6月の会議では、先の池田屋事件で多くの同志を失った今、どう攘夷を進めていくべきかを、

それぞれ具体策を交えて議論していたと思われます。

そこに集まったのは、少し挙げるだけでも・・・


「長州藩」 桂小五郎氏、久坂玄瑞氏 他

「肥後藩」 宮部鼎蔵氏、河上彦斎氏 他

「土佐藩」 武市半平太氏、坂本龍馬氏、中岡慎太郎氏 他

「久留米藩」 真木和泉(和泉守)氏 他

「急進派の公卿」 三条実美氏 他?

錚々たる顔ぶれですね!

お名前を見ると、多くが池田屋事件、禁門の変、近江屋襲撃などにおいて、明治維新を前に命を落とされた方々です。

翠紅館自体は、太平洋戦争で焼失。現在は建物も建て直され、料亭「京大和」として、営業されています。

hpでは、絶景といわれた眺めを、お写真で楽しむことができます。 料亭「京大和」


さて、維新の道は、このあたりから坂の勾配が厳しくなっていきます。

坂を上りきると・・・


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左手に「霊山護国神社」、右手に「霊山歴史館」です。

ちょうどこの坂の上に、幕末維新志士の方々を祀った霊園が広がっています。


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初めてこちらを訪ねたときは、あまりに有名な幕末志士の方々のお名前が並ぶ様に、圧倒されました。

千名以上の報国の志が、眠っています。

お墓の数だけ、志士の方々がお国のために命を捧げられたのですね…。

昨日は、こちらへは入らず、歴史館のみ訪ねました。


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中は、撮影禁止のため、お伝えできないのが残念です。

「会津の武士道 第3期 ~戊辰戦争~」のテーマで、展示が行われていました。


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今回の展示は、前回の「第2期~会津藩と新選組~」に、新しく戊辰戦争の史料が加えられていました。


今回の目的の一つだった、今回初公開の「孝明天皇ご愛用の棗(なつめ)」です。


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孝明天皇が、これを御手に・・・!! 思ったより小さかったのですが(直径10cm未満でしょうか)、

やっぱり、すごく可愛かったです♡



霊山歴史館を詳しくご存知ない方は、ぜひこちらをお訪ねくださいませ。 

霊山歴史館


長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました!