ミュラー=ブリュールは、古典派の中でも、モーツァルトを一番愛していました。 数年間、録音を中断した後、病をおして最後に録音したのも、モーツァルトのディヴェルティメント第11番と第17番でした。
なので、モーツァルトの録音も多いんですが、NAXOSで、同時に進行していた、モーツァルト交響曲全集の影響か、けっこう歯抜けなんです。 後期六大交響曲も35.36.38.39.番はあるのに、一番有名な第40番と41番がないんです。 ハイドンの交響曲のほうは、全集に組み入れられているのに、モーツァルトは別格扱いというのも解せません。 ま、聴けば演奏の格の違いは明らかなので、NAXOS社内の政治的判断があったのかも知れません。
この、38番も、名演が多い曲ですが、1990年代以降の、オーケストラの演奏スタイルに大きく変化をもたらした元祖のような感じです。 現代楽器オーケストラが、古典派の作品を、どう演奏するか? の答えの1つがここにあります。 どちらかというと、辛口の演奏なんですが、キリっと引き締まった響きと、管楽器やティンパニを使ったダイナミックな表現を使い分け、豊かな表現につなげていますが、フレージングなどは、あたたかく、しなやかで、愉悦に満ちています。
実演を聴けた人は幸せだ(’ ’