前回記事↓のつづきです。
私が地頭論を語る理由の一つに、「子どもが持って生まれた能力には、残酷なほど差があるということを知らないと、親も子もものすごく苦しむことになるから」というものがあります。
今日はこの「地頭格差」というものがどのくらいあるのかについて書きたいと思います。
これから中学受験をはじめる2年生、3年生の親御さんには、是非見ておいていただきたい記事です。
いきなりですが、以下の動画をご覧ください。
https://youtu.be/oOaeihPjSXQ?si=XhuiQGa1uGw6I_zB
このかたは、日本で唯一、地頭論に真正面から向き合っている塾講師です。
動画中で次のように述べられています。
毎日私は子供達を何人も教えているわけですが、その中には持って生まれた能力に恵まれている子もいますし、それに対して、可哀そうなくらい、可哀そうと言うと上から目線で申し訳ないのですが、可哀そうなくらい理解力がない子、持って生まれた能力がない子供達にも毎日のように接しています。
その差は残酷です。
同じ1時間、同じような説明しても、センスがない、持って生まれた能力がない子は、理解すら、できたように感じるけれども、本音では納得できていない。つまり全く問題ができるようにはならない。
逆に持って生まれた能力が素晴らしい子は、たった5分でその内容を本当の意味で理解し、そしてその応用問題も自力で解けてしまったりします。
この差が毎日、毎時間ついていくわけです。
能力がない子は、その日の授業の内容をまるで聞いたことがないかのように忘れてしまいます。「こういう話聞いた?学校の先生、こんな授業でこんなこと言ってなかった?」って聞いても、「えー、うーん、ようわからん」って答えを言います。
しかし、能力がある子は、はっきりと「あ、こういう話してくれた。あ、こういう言い方をしていた。こういう解説でしたよ。」と説明してくれます。
この差が毎日続く。
この中で努力でその差を埋める、例えば毎日塾に通ったり、1日2時間3時間の勉強をするってことで、この差を埋めることはとても無理です。物理的に不可能なのです。
それだけではありません。勉強のセンスがある子っていうのは、勉強が好きになりやすい。なぜなら面白く感じる。わかるから、そしてちょっと勉強したら人より上にいけるから、楽しく感じる。逆にセンスがない子は、勉強しても勉強しても上に行けない。分かるようにならない。嫌いになって当たり前です。勉強にやる気が出なくて当たり前です。
そういった残酷なことを親たちは自分の子どもの状況を理解して、学校のペースに対して、ついていけないからといって怒るのではなく、フォローしてあげる。そして、学校のペースが遅すぎてどんどん解ける子には、もっと適切な負荷を与えてやる。そういったことをするのが親の役目だと私は思います。毎日、子供達を見ていて、その適切な役目を親が果たしていない場合、ストレスが少しずつ少しずつ溜まっていき、良くない方向に進む子も中にはいます。そういった面に着目してもらえればなと思います。
私はこの方の主張に100%同意します。
今から中学受験を始められる人、まだ我が子の地頭レベルがわからない人、さまざまいらっしゃるかと思います。
地頭格差について、次のように認識している方はいないでしょうか?
【理想】 地頭等差数列
Sランク レベル9
Aランク レベル7
Bランク レベル5
Cランク レベル3
Dランク レベル1
これは誤った認識です。
現実はこうです。↓↓
【現実】 地頭格差対数認識論
Sランク レベル10000
Aランク レベル1000
Bランク レベル100
Cランク レベル10
Dランク レベル1
私はこちらのほうが、現実に則していると思います。
持って生まれた能力の差というのは、文字どおり「桁が1つ、2つ違う」レベルで存在しているのです。
親子とも地頭に恵まれた場合、まさかこれほどまで差があるなんて思わないでしょう。
私のことを「何言ってんだこいつは」と思われたとしても、無理はありません。
しかし偏差値40の子を我が子として持って、その子の中学受験に併走してきた人ならわかるはずです。
①典型問題を何周してもできるようにならない
②家でできても、テストになるとできない
③季節講習のスパイラル時には完全初期化している
④条件整理がまるでできない
⑤何回言っても図(絵)や表を書かない
⑥何回も同じ漢字を間違える。
…
このような、「勉強適性遺伝子」をもった人には到底理解しがたいことが起こるのです。
どのくらいヤバいかというと、
「①~③典型問題すらできない」
→等差数列のN番目を求める公式とN番目までの和を求める公式を6年生の秋になっても混同するとか、今まで何回も出て来た円すいの体積を「円柱×3」で計算するとか、
「⑤何回言っても図(絵)や表を書かない」
→流水算で地点Pと地点Qのどちらが上流でどちらが下流かを気にせず解いて、大問ごとGoodbye!
「⑥何回も同じ漢字を間違える」
→「遣唐使」という漢字を「遺」唐使と10回以上書かれたり、「努める・勤める・務める」の区別が3ヶ月スパイラルしても定着しない、いまだに都道府県の漢字を忘れる、とかです。
こんなことが日常茶飯事に起こるのです。
私も当初は、「真面目にやってないのか」、「やる気がない、覚える気がないのか」、「嫌々勉強しているのか」と思っていました。
しかし3年間、娘の勉強に併走してきてわかりました。
おそらくそれは違います。
本人は至って真面目なのです。中学受験する気もあるのです。
でもできない。
それはなぜか。
地頭が悪いからです。
まともな言葉でいうと「勉強適性がないから」です。
これを努力の差によってうめることは、上記の塾講師が言うとおり、不可能です。
以前、私は、「特段の才能はないが、勉強をやったらやっただけ跳ね返ってくる人」のことを
「ギフテッド凡人」と呼んだことがあります。
予習シリーズや日能研の栄冠テキストで勉強すれば、その内容をおおむね理解でき、宿題を2~3周すればテストでもおおむね解くことができる。
勉強ができる子にとってはそれは当たり前で、
むしろ「2~3周しないとできるようにならない」あるいは「2~3周しても7~8割しか取れない」というふうに捉えて、我が子のことを「凡人」と表現する。
でもそれは違う。
中学受験の勉強において、やったらやっただけ跳ね返ってくるのは、ただの凡人ではない。
「勉強適性遺伝子」をもった「ギフテッド凡人」なのです。
ギフテッド凡人は、本物のギフテッドと比べて、自らのことをただの凡人と思うだけで、その実(じつ)は、勉強の才能に恵まれた人たちなのです。
そして、我が子がこの「ギフテッド凡人」に該当するか否かで、中学受験をする子ども本人、そして併走する親の苦しみは大きく変わってきます。
次回、もう少し深く掘り下げて見ていきます。
※いつもコメントありがとうございます。少し遅くなることはありますが、時間の許す限り返信させていただきます。
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