短編小説「京のおんな」ガラシャ物語<3> | 京こね☆ニュース

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前回までのお話は↓から。
 
 

※フィクションの部分もあります。あと、現代の言葉を使っています。

 ご了承下さい。

 

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ガラシャ物語<3

 

 新婚時代に過ごした勝竜寺城には、光秀が入り、秀吉軍との決戦に備えていた。

 

 その頃、夫婦にはまた辛い決断の時が迫っていた。 珠の言う通り、このまま妻として置いておくわけにはいかない。 しかし、愛する妻を手放すことができない忠興は、珠へ離縁を申し出る。 しかし、それは形の上だけのものであり、珠は丹波の山奥に身を置くことになったのであった。 事実上の幽閉である。

 

 一人の護衛の武士と一人の侍女に付き添われ、山中にこもっていた珠は、父親と夫の身の上を思い、不安な日々を過ごしていた。

 

 しかし、それも長くは続かなかった。 光秀は勝竜寺城を出て暗い夜道を坂本へ急ぐ途中、小栗栖という場所で討たれた。

 

 ほどなくして明智の本拠・坂本城も炎上。 珠の二人の姉をはじめ明智一族は滅亡した。

 

 一人とり残された珠は、肉親を失った悲しみと、夫と幼い二人の子供との別離の痛みに、ただひたすら耐えていたのであった。

 

 そんな中、唯一の慰めは、時折心配して粗末な家に訪ねてくれる忠興の姿だった。 忠興の心は未だ珠のもとにあり、形の上の離縁とはいえ、事実上はまだ夫婦であったのだ。

 

 そして、珠は再び身ごもった。 夫婦にとってひとときの幸せを手にしたのであった。

つづく

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