短編小説「京のおんな」ガラシャ物語<4> | 京こね☆ニュース

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前回までのお話は↓から。
 
 

※フィクションの部分もあります。あと、現代の言葉を使っています。

 ご了承下さい。

 

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ガラシャ物語<4

 

 本能寺の変から、約2年が経った頃、天下人になろうとしていた秀吉のはからいで、忠興は丹後一国を安堵されることとなった。

 

 それは、光秀の縁者でありながら、山崎の戦いに貢献したという功績が認められたものだった。 また、謀反人の娘となっていた珠も、何の罪に問われることなく、その幽閉から解かれた。

 

 夫と子供のいる宮津に戻り再婚したのは、珠が22歳のことであった。 忠興は大喜びであった。 ようやく取り戻した愛しい妻を宝物を扱うように大切にした。 しかし、大切にすればするほど、また自分のもとからいなくなるかもしれない不安がつきまとっていた。

 

 

 さて、当時、大阪城を築いていた秀吉は、その付近に各大名の屋敷をつくらせ、大阪の屋敷に妻子を住まわせようとしていた。 いわゆる妻子は人質である。

 

 細川も大阪城の南に屋敷を建設しており、珠は子供と共にその屋敷へと移ることになったのであった。

 

 しかし、そのことが忠興の不安を一層かきたてた。

 

 ある時、秀吉は絶世の美女だという噂の忠興の奥方に会いたいと言ってきた。 いくら秀吉が罪を問わなかったといえども、珠の父親を討ったのは、間違いなく秀吉だ。 珠に会わすのは気が進まない。 しかも、秀吉は無類の女好き。 もし珠を気に入ってしまったら、自分は逆らうことなどできない。 そう思った忠興は、秀吉にこう忠告した。

 

 「妻は光秀の娘で男気があります。 近づければ、秀吉様が危なくなるのではと心配でなりません」

 

 この言葉を聞いた秀吉は、珠に会うことをなくなく諦めたという。

 

 これで忠興は一安心したが、やはり、愛するが故の不安はつきまとい、とうとう珠に外出禁止令を出してしまうのであった。

 

つづく

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