短編小説「京のおんな」藤原道綱母<2> | 京こね☆ニュース

京こね☆ニュース

京都の小ネタ・ニュースばかりを集めた「京こね☆ニュース」!
2024年は ”京都こねたクイズ” 1日1問クイズに挑戦!!

前回までのお話は↓からお読み下さい。
 

 

※フィクションの部分もあります。あと、現代の言葉を使っています。

 ご了承下さい。

 

本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本

 

藤原道綱母<2>

 

恋文を見つけて1ヶ月ほどたった頃、夫は三晩続けて姿を見せなかった。

 

こんなに長く家を訪れないのは初めてのことだ。

 

今までは、嫉妬なんてはしたないと思い、何も言わなかったが、もう我慢できない! 

 

4日目の夕暮れ、家に来た夫に私は問いただした。

 

「この3日間、どちらへいらしたのですか?」

 

「いや、わざとつれないマネをして、お前の心を試したんだよ」

 

夫は平気な顔でとぼけている。

 

私が何も知らないとでも思っているのかしら・・・? もう、だんだん腹が立ってきた。

 

すると、怒っていることが分かってしまったのか、夫は身支度を調え、こう言った。

 

「あっ・・・急用があったんだった・・・」

 

夫は振り返ることなく、そわそわと出かけて行った。

 

急用って、どれだけ怪しい言い訳なんだか。

 

私は唖然としながらも、家の者に後をつけるように頼んだのだった。

 

 

第三の女の家は、夫の通勤途中にあった。

 

夫の後をつけさせたら、やはり女の家。 きっと、あの恋文の女だろう。

 

嫉妬の渦は、またメラメラと私の中に燃え広がったのである。

 

それから3日ほどたった夜中、門をたたく音がした。

 

きっと夫が来たのだろう。 しかし、私は腹立たしさのあまり、夫を中に入れることはしなかった。 しばらく待っていたようだったか、しばらくして夫は我が家を離れた。

 

離れた瞬間、私は言い知れない寂しさに襲われ、また眠れない夜を過ごしたのだった。

 
                        つづく

 

本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 本

 

 

↓クリックお願いします。


人気ブログランキングへ