みなさんこんにちは。前回からの続きです。
3月中旬、頂いた連休で実に14年ぶりの韓国・ソウル周辺をひとり旅した際の道中記をお送りしています。


旅は第2日目(2025年3月18日)の様子です。
この日は朝から、ソウル郊外の「義王(의왕 Uiwang ウィワン、京畿道義王市)」にある、韓国唯一の「鉄道博物館」にやって来ました。


今回の14年ぶり韓国ひとり旅の、メインイベントのひとつがこちらの訪問でした。入り口付近から歴代車両が見えるあたり実に楽しみです。



入場料金は大人1名2000ウォン(約200円)。なんと良心的なものかと思えます。

では、さっそく博物館の内部を探索してみることにします。ただ、どこを見渡してもまったく人気がありません。


ゲート正面には、立派な展示館があります。
19世紀末、朝鮮半島に鉄道が開業して以来の貴重な展示がたくさんという、趣味的にはたまらぬものですが。やはり人っ子ひとり居ません。
このあたり、鉄道趣味に対するお国柄の違いがあるのでしょうか。

さて、その展示館の真ん前に、この博物館の名物だという列車が展示されています。

深緑と黄色に塗り分けられた、大統領専用列車(左側)と、その警護用車両(右側)でした。
2015年にあらたに搬入されたのだとのこと。

まずは、大統領専用の方から。正面から眺めますと、結構な大きさの車体です。

この列車は、16年の長きにわたって韓国の大統領を務めた大政治家・朴正煕氏(パク・チョンヒ、1917-1979)が作らせたものだとのこと。出典①。
今年は日韓国交回復60周年に当たりますが、その礎となった「日韓基本条約」を1965(昭和40)年6月に締結した際の大統領として知られます。日本では、佐藤栄作首相の時代でした。

大統領専用と瓜二つの警護用列車は、これを模して1985年に大宇重工業(韓国企業)で製造。
いずれも2001年まで実際に運用されていたという気動車(ディーゼルカー。現地では「特別動車」と呼ぶ)です。

それでは、気になる大統領専用列車を観察してみよう…と思うのですが、窓の多くにはカーテンが引かれていて、中の様子がわかりません。
せっかく、特設プラットホームのあるような博物館で展示しているのに残念な、と思うのですが。引退していますから、なにも隠すことはなかろうでしょうに。

数少ないカーテンのない窓から覗いてみます。広々した車内に立派なソファーが見えますので、これは執務室でしょうか。

気になったのは、やはり列車の特性といいましょうか、防弾の二重ガラスが取り付けられていること。帰国してから調べますと、ガラス以外の車両外板も、一般的な車両よりかなり分厚く製造されているそうです。



こちらもやはり、あちこちカーテンが引かれた状態。日本の感覚からすると、もったいないなあと思えるのですが。


その運転席側はばっちり車内を観られました。警護用、とはいうものの、随伴車用というような設えです。


取り付けられているシートは回転リクライニング式。製造が1985年といいますので、当時とすれば幹線を走る特急列車並みです。


おもしろいのは、ドアの横にあるロングシート。ここだけ通勤型車両のよう。ただ、引退したものとはいえど、立派な設備です。

さっそくに興味深い列車を拝見出来ました。
今日はこんなところです。
(出典①「フリー百科事典Wikipedia#朴正煕」)