おらが街「東大阪市民美術センター」で今夏に開催された、特別展「みんな大好き!近鉄電車のデザイン展」を訪問した際の様子をお送りしています。
「奈良線系特急車両の変遷」と題したパネル展示を引き続き拝見しています。

またも先取りですが、パネル展示の次にあったポスター展示より。
近鉄特急が誕生60周年を迎えた際のもの。


戦後間もない1947(昭和22)年、混乱の続く世相の中で、戦前製の状態の良い車両を整備して大阪・伊勢間を結ぶべく運行されたのがその嚆矢。以降、時代の変遷とともに個性的で魅力のある車両が次々と登場、今日に至ります。


さて、パネル展示はいよいよ平成が近づいて来ます。1988(昭和63)年3月、近鉄の看板列車名阪特急のイメージを大きく変える、特急専用車両が劇的なデビューを果たしました。
「21000系 アーバンライナー」です。

観光需要の大きい伊勢志摩方面への輸送に対し名阪間はビジネス需要が大きい、という特徴を掴んだ近鉄は、さまざまな車種が運用されていた名阪ノンストップ特急に、その特徴に応じるような専用車両を導入することになりました。

座席も、ライバルの「東海道新幹線」を意識した「デラックス」「レギュラー」の2クラスに。特に前者は1×2列の座席配置で、JRのグリーン車を凌ぐような重厚な座席が採用されました。
1988(昭和63)年3月のデビュー直後から、従来の近鉄特急のイメージを大きく覆す斬新なデザインの豪華車両、ということで、指定券の確保も困難なほどの大変な人気を博します。
ライバル・新幹線からの乗客転移が雪崩のように発生し、名阪間での近鉄特急の利用客数は急増。「アーバン効果」と呼ばれるほどでした。

平成に入り、後継の「21020系」が2002年に登場。バリアフリー機能も加味して内装は一新され「アーバンライナーnext」という愛称が付けられます。

次いで「21000系」もそれに準じた改造が施されて「アーバンライナーplus」と呼ばれるようになりました。
近鉄特急のイメージを「2階建てビスタカー」から大きく変え、大阪・名古屋間という区間を専用に運行するようになったこともそれまでの近鉄特急にはなかったこと。いずれにしても、現在に至るまで、名阪特急の象徴的な存在感を示しています。こちらも大好きな車両です。


「アーバンライナー」以外にも、平成初期には新型特急車両が多数導入されるようになりました。そのひとつが1992(平成4)年から登場した「22000系 ACE」。

名阪ノンストップの「アーバンライナー」に対し、沿線主要駅に停車する特急車両の置き換えを進める目的で導入されたもの。
旅客需要に合わせて、最小2両単位で編成の組み替えが出来るということで、特急列車が設定されている全路線で運用が可能という、汎用特急の役割を果たしています。ゆえに、沿線ではよく見かけます。


「ACE」の後継「22600系」も2009(平成21)年にデビュー。こちらも汎用特急ですが、この年に開始された「阪神なんば線」乗り入れにも対応しており、団体列車として神戸三宮まで乗り入れることも、特徴のひとつです。
「阪神なんば線」を介して線路は阪神から神戸高速、山陽電車へとつながっていますので、鉄オタとしては山陽姫路まで運行されたらすごいなあと、これを見るたびに妄想するのですが。

そして、平成も終わりに入ろうかというところで、さらに印象に残るこの2列車が登場します。

「50000系 しまかぜ」。
全座席は1×2列の豪華な革張り座席に、和風・洋風のサロンシートも設置。ビスタカー以来復活した2階建て車両には軽食を味わえるカフェ車両を連結することに。
デビューから10年以上経過した現在でも、指定券の確保が困難な状況が続くという、大変な人気の列車です。大和西大寺にて。

そして、2020(令和2)年3月には「80000系 ひのとり」が万を持して登場。メタリックレッドがまばゆいこの車両は「アーバンライナー」の後継の、名阪特急としてデビューしました。
この「ひのとり」の登場で「アーバンライナー」は名阪間の速達型特急から退き、主要駅停車の名阪特急へと転身しました。
とはいえ、名阪特急は「ひのとり」「アーバンライナー」の殆どがそれら専用車両になったために、利用する側としては大変ハイレベルになった名阪特急です。
次回に続きます。
今日はこんなところです。