特別展「みんな大好き!近鉄電車のデザイン」訪問記〜その2 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。


おらが街「東大阪市民美術センター」で今夏に開催された、特別展「みんな大好き!近鉄電車のデザイン展」を訪問した際の様子をお送りしています。




会場の美術センターは、花園ラグビー場の斜め向かいにありました。立派な建物です。



エントランスに入ってまいりました。
主展示は2階だということですが、無料で出入り出来るこちらの1階にも展示がなされています。それも、さっそく貴重なものからです!



近鉄特急の代名詞、2階建て電車を表す「VISTA CAR(ビスタカー)」のエンブレムに、水色地に菱形の大きな愛称板。「20100系 あおぞら号」で使用されていたものです。

デビューは1962(昭和37)年のこと。3両が基本編成で、5編成15両が製造されました。



解説にもありますが「あおぞら号」は修学旅行での利用を念頭に、団体専用列車として運用されました。関西ではその頃、小中の修学旅行というと伊勢方面がお決まりだった時代でした。


すでに2階建てビスタカー(10100系)が名阪直通特急に活躍していましたが、修学旅行でも2階建て電車に乗りたい、という子どもたちの人気も加味されての登場だったといいます。出典①。


ゆえに、この「あおぞら号」は1編成3両すべてが2階建て構造でした。特筆すべきは、それが電車で、となると世界初だったそうです。


正面から。同じ昭和30年代半ば頃から次々と登場した特急専用車両と、顔つきは似たものにされています。助手席側(向かって左側)の窓が
大きく取られ、前面展望に配慮したもの。


先頭と後方の1・3両目は客席は2階建て、中間の2両目は客席は2階のみに設けられています。


コンプレッサーなどを2両目の1階部分にまとめているためにその部分には座席はありません。出典②。


ところでこの車両、先ほども触れたようにオール2階建て構造です。一般的な車両に比べて背が高いということが、真正面からですとよくわかります。屋根が丸っこいというのもそうですがこれらはこの車系最大の特徴でもありました。


しかし、すべて2階建てだったというこの「あおぞら号」。車内はどのようなものだったのか。さらに、手元の参考資料からいろいろと引っ張り出してみます。



2階客席の様子。2階建てということでさすがに天井は低く設定されていることがわかります。座席は固定式のクロスシートで、通路をはさみ2×3列という配置も特徴的なものでしょうか。


階下、1階席の様子。やはりこちらも天井は低く、座席配置も同じ。ただ、小中学生の修学旅行での運用が主目的でしたので、座席が狭い2×3列でもさほど問題はなかったのでしょう。出典②。


これは、主な利用層が大人と子どもと違うことから出来た芸当?のように感じます。

さらに向かい合わせの座席の方が、子どもたちにしてみれば楽しいものだったに違いありません。よく考えられています。出典③。


網棚は窓上になく、座席間の頭上に出来たスペースに移されました。珍しいものです。出典②。


ところで、わたしと同い年のヨメハン(生まれも育ちも都会な大阪市内)は、小学校の修学旅行は伊勢だったとのこと。

聞き出してみると、最寄り駅から地下鉄に乗り、上本町から団体列車に乗った…そうです。おそらく、これに乗ったのでしょう。出典③。



なんともうらやましい話しですが、車内はおろか道中のこともあまり覚えていないようで(汗)

昭和から平成はじめの当時の東大阪は、小学校の修学旅行は広島の平和学習が多かったですので、わたしは乗れず。余談でした。


「あおぞら号」はその他にも臨時特急や、沿線の天理教行事での輸送にも活躍したとのこと。しかし、1993(平成5)年に最後まで残った1編成3両が引退、すべて廃車になりました。後継の「あおぞら2」と並ぶ。


近鉄は沿線に著名な観光地を多数有する性格上、団体列車の需要は高く、現在でも複数の専用列車が存在しています。

他の関西大手私鉄には見られない、大きな特色といえましょうが、その嚆矢はまさにこの「あおぞら号」なのでした。


いや、さっそく貴重な品々を拝見出来ました。これは、本展示も楽しみです。

次回に続きます。
今日はこんなところです。

(出典①「鉄道ピクトリアル No.313 臨時増刊号 近畿日本鉄道特集」電気車研究会編・発行 1975年11月)
(出典②「復刻版私鉄の車両 近畿日本鉄道1特急車」飯島巌・藤井信夫・井上広和共著 ネコ・パブリッシング発行 2002年7月)
(出典③「近畿日本鉄道 80年のあゆみ」近畿日本鉄道編・発行 1990年10月)