JR東日本 全線完乗への道!その143〜期間限定「キュンパス」で北東北をひとり旅 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

今年3月、期間限定で発売されたJR東日本全線乗り放題の企画乗車券「キュンパス」で、その北東北の未乗線区を乗り鉄した旅日記をお送りしています。



旅の第2日目(2024年3月12日)。

ただいま「新青森駅(青森市)」です。



「東北新幹線」と「北海道新幹線」が乗り入れるこの駅は「JR東日本」と「JR北海道」の境界駅でもあります。そういったことでどことなく北海道の面影が漂うかのような、新幹線コンコースを探索しているのですが…


そんな中、ここはやはり青森だと引き戻されるよう。これはすごい。青森といえば「ねぶた祭り」ですね。


細かい造形に、活き活きとした人形の表情。
夜に、これに明かりを灯して練り歩くのですから、大変な迫力に違いありません。一度は体験してみたい、東北を代表する夏のお祭りです。


では「ねぶた祭り」についても、先日記事から度々登場、全国47都道府県を鉄道駅から詳しく取り上げるシリーズ「各駅停車全国歴史散歩3 青森県(東奥日報社編・河出書房新社刊 昭和57年1月発行)」から、拾ってみることにします。


ねぶたとネプタ
毎年8月2日から7日まで開かれる青森市のねぶた祭りは、最近では200万人からの観光客を呼ぶ。地元観光協会は「日本の火祭り」と呼ぶ。(中略)同じ津軽の弘前市では弘前「ネプタ」祭りが開かれる。青森市には及ばないにしても、弘前市も100万人余の人出を呼ぶ。

ねぶたとネプターいったいどう違うのか。
両方の祭りを実際に見物したことのある人ならその相違は一目瞭然である。弘前のネプタは凱旋の「扇ネプタ」といって、巨大な扇型の骨組みに「三国志」などの極彩色の絵を飾り、それをゆかた姿の人たちが引いて練り歩く。


一方、青森市のねぶたは「進軍ねぶた」といって、牛若丸と弁慶などの巨大な人形の組みねぶたである。出典同、青森市の「ねぶた」。

二つを比べてみると、共通点もあるが、その形態や太鼓、笛や囃子にはかなりの違いがある。(中略)弘前のネプタは「三国志」や「水滸伝」などのきれいな絵を眺めて楽しむ祭りであるのに対し、青森市のねぶたは、自分も群れに参加出来る楽しみがある、というわけだ。


ところで同じ津軽の祭りなのに、なぜ「ねぶた」と「ネプタ」に呼び分けられるのか。

もともとは青森市の人たちも「ネプタ」と呼んでいた。(中略)漢字を当てたときの読み方が「ねぶた」の方が正確だということによるものらしい。どちらかに統一するべきだ、という論もあるが、今となってはどうも難しいようだ。(P116)


先ほどもありましたが、「ねぶた(もしくはネプタ)」を漢字表記すると「佞武多」になります。「武=ぶ」、ですから、確かにそうなりますね。

この意味をさらに掘り下げると、もともとは「睡魔を打ち払う」、「眠気を払う」が起源なのだそうです。さながら昼のような明るさににぎやかさだといいますから、なるほど、です。


ねぶた、ネプタの題材として登場するのは、やはり当地にまつわるものが多いようで、駅には土偶のそれまでありました。



歴史の授業では必ず学ぶ「遮光器土偶」です。左足が見つからないというあの土偶ですが、まさにここ、東北地方北部で多く発掘されているというもの。

出典に記されているのは、県内の「亀ヶ岡遺跡(青森県つがる市)」という、縄文時代の遺跡で見つかったもの。


もっといいますと、その亀ヶ岡遺跡に並ぶ縄文遺跡というと、ユネスコ世界遺産「三内丸山遺跡」も有名ですが、かの時代には鉱石類の豊富さから、ここを起点に全国との交易で一大拠点だったということが特筆されます。

ヤマト政権が畿内(現在の近畿地方)で体制を為す遥か以前のことですから、天然資源が豊富にあり、文化・生活において当地が大変な先進地域だったことがあらためて窺えます。

そういえば、昨日に途中下車した「野辺地駅(同上北郡野辺地町)」から分岐していた「南部縦貫鉄道」。その沿線で砂鉄が豊富に採れる、ということから鉄道建設がなされたことを思い出しました。2024(令和6)年6月17日アップ。


ねぶた祭りもそうですが、古代から続く、そこはかとなく深い由来のある濃密な、ものごとの多いように感じる青森県。歴史好きのはしくれとしては、大変ロマンを感じます。

次回に続きます。
今日はこんなところです。

(出典①「図説日本史通覧」黒田日出男監修・帝国書院編・発行 2015年2月)