3月16日の「北陸新幹線 敦賀〜金沢間開業」と入れ替わり、長年親しまれた在来線特急が姿を消した、敦賀から先の「北陸本線」。
全国的にも稀少な「特急街道」を最後に味わいたいと、大阪発「特急サンダーバード」に乗り、昨年11月に石川・金沢周辺をさまざま日帰り乗り鉄した際の道中記をお送りしています。
金沢市内の「野町駅」から南下している「北陸鉄道(北鉄)石川線」に乗ること30分。
白山麓の玄関口、終着の「鶴来駅(つるぎえき、石川県白山市)」にやって来ています。

さて、現在は終着駅となっているこの駅。

行き止まり駅になったのにも関わらず、あたかも中間駅のような設えが遺されている、廃線区間を辿っています。
鶴来の町の旧市街地を、大きくカーブを描いている線路、これが「加賀一の宮駅」まで延びていた廃線区間。目抜き通りに入って来ました。
ここはかつては「石川郡鶴来町」と呼ばれており、霊峰・白山を御神体に崇める「白山比咩神社(はくさんひめじんじゃ)」の、古くから開けた門前町です。
豊富な森林資源を活かした木材・木炭製品や刃物類、さらに酒造業などが盛んな土地として知られているのだとのこと。近年は金沢市内のベッドタウンとなっているそうですが、歩いていると閑静な佇まいです。駅前の周辺地図より。

さて、その目抜き通りを分かつように鎮座していたのが、この踏切。否、踏切跡でした。
ちょうど★あたり。駅構内からのカーブが終わるところに、この踏切はありました。ちょっと細見してみることにします。

先ほど駅からちらちら眺めて来たカーブは、ここでおしまい。柵が据えられているのが物悲しいですが、ここが15年ほど前まで現役だった廃止区間です。


架線はここまで張られていて、その真ん前に車止め。ここから先は現役当時そのままの姿ですので廃止後も手が加えられているのでしょう。

しかしながら、踏切にかかる手前でレールはばっさり切られ、その中央に架線柱が建てられていたりします。
ここが加賀一の宮への線路ですのでこれが後づけだとわかるのですが、なおのことこの遺されたカーブ区間の用途が気になります。

場所を変えて。踏切関連のリレーボックスもそのまま。左側には生活道路が分かれています。
いまなお、街並みに溶け込んだかのよう。しかし、踏切の先に視線をやりますと…

単線の架線柱には、生い茂る蔦。

踏切までの区間とはまったく異なる、廃止以来放置されたであろう「棄景」がそこには広がっていました。
次回に続きます。
今日はこんなところです。