みなさんこんにちは。前回からの続きです。1970(昭和45)年開催の「大阪万博」で活躍した、万博を巡る千里の鉄道を中心にした交通機関についての企画展「振り返ろう懐かしの千里万博の時代」訪問記をお送りしています。


今回の企画展展示の主題、千里丘陵で開催された先の「大阪万博」会場に直結していた「北大阪急行電鉄(北急)〜地下鉄(現在のOsakaMetro)御堂筋線」ルートについて、会場の南千里をいったん離れて項を進めています。




さて、その北急の北端、終着駅の「千里中央駅(大阪府豊中市)」にやって来ました。



前回の記事でも触れたのですが、長年終着駅だったここ千里中央からさらに北へ2駅、市境を越えた「箕面萱野駅(同箕面市)」まで路線が延伸されることになっています。来春、3月23日開業の予定です。グーグル地図より。




頃合い良くというのでしょうか先日、夕方のニュースでこの延伸事業についての特集が組まれていました。


なかなか興味深い内容でしたので、こちらから今日は項を進めてまいりたいと思います。
「報道ランナー(関西テレビ、フジテレビ系列)」2023(令和5)年11月29日放送より。



先月26日、延伸区間のすべてのレールがつながった締結式の様子。試運転もまもなくです。



箕面を通る鉄道というと、阪急箕面線が浮かびます。ただ、これは市内西部を経由するのみで
それ以外の広大な市域は、公共交通機関はバス路線が主体の「鉄道空白地帯」。

大阪近郊の、人口の多い場所にこれほどの空白地帯があるというのは、ちょっと意外でした。


メインキャスターの吉原さんが、特別に延伸開業する区間のトンネルを歩くことに。



これは知りませんでした。放送を観る分には、現在の駅から150メートルはあるでしょうか。北急が開業した時点から、箕面への延伸を考慮していた、という現れですね。




工法も、地上から掘削して壁面を作る箱型のトンネルと、シールド工法(円形のシールドマシンを地中に埋めて、掘り進む工法)の違いがわかります。こういった差異は興味深いです。




先日の記事でも触れましたが、北急自体が、先の「大阪万博」の観客輸送のために開業した路線でした。

「千里ニュータウン」はじめ、周辺の宅地開発が進む中で、そこに居住する人々の交通手段として本格的な役割を果たすのは、万博閉幕後のことでした。


延伸区間は総延長2.5km。
千里中央から隣の「箕面船場阪大前駅(同)」までは、このような地下線が続きます。





「箕面船場阪大前駅」のイメージパース。

おしゃれなデザインの駅です。




ところで、駅名にもなっている「船場」には、大阪府内最大級の繊維問屋街があります。

聞いたことはあるのですが、なんでここに問屋街が、それもさらに「船場」なんやろうと思っていたのですが。



なるほど、もともとは市内の船場から、やったんですね。戦前から大規模な繊維問屋街が広がる、大阪を代表する街です。

最寄り駅は「堺筋本町駅」や、くだんの北急が「御堂筋線」と相互乗り入れしている「本町駅(いずれも大阪市中央区)」。まさに大阪の中心地に当たります。




昭和40年代、それも万博の頃にピークを迎えたという、船場の繊維問屋街。店舗が増え、交通量も激増し商品の積み下ろしにさえ支障を来すほどだったそう。さすがに活気がありますね。



そのため、当時は開発途上だったこの箕面に問屋街の大半が移転。名前に「船場」を残すことになったのだとのこと。




開発途上ですから、広大な土地を確保しやすかったこともさることながら、新御堂筋を経由すると市内の船場との行き来も便利なはず。なるほど。




ただ、延伸事業の推進に当たっては、周辺の宅地開発が進んでいたとはいえ、新駅の需要を喚起するために、繊維問屋が所有する広大な土地を箕面市に売却。

そこを数年かけて、再開発を進めて来たのだとのこと。これが延伸の決め手になったよう。





阪大の外国語学部キャンパスに、市立図書館。



生涯学習センターに、約1400席を有する文化芸能劇場。この程度のキャパの劇場というと、結構なもの。これらが駅前に集積しているといいます。




新駅の環境としては申し分ないほど恵まれたもの。長い時間をかけての、官民一体が遺憾なく発揮された好例だとも思えます。



さらに、駅直結のタワーマンションも建設中。



実は、中河内の自宅にもこれの折り込みチラシがちらほら見かけるほどなのですが。万博公園も近いし、このようなところに住めたらええなあ、などとヨメハンと囁いていたりしました。余談でした。




それはさておき、これほどまでに沿線の形を変えてしまうほどの大開発が出来るというのは、やはり北急が御堂筋線と直結しているから、でしょう。


新大阪・梅田・淀屋橋・なんば・天王寺などと市内の主要駅、ターミナル駅の多くを網羅しているという高い利便性は実に魅力ですし、この延伸というものは、街の再開発としても意義のあるものなのだなと感じた次第です。


次回に続きます。

今日はこんなところです。