NHK朝ドラ「舞いあがれ!」一週間を振り返る〜第18週「親子の心」前編 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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みなさんこんにちは。今日の話題です。




昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。


このドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしています。




先週は、第17週「大きな夢に向かって」前後編↑



読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023(令和5)年1月29日付け 7面より。



それでは、第18週「親子の心」編を振り返ることにいたします。今回も、前後半に分けてお送りしたいと思います。



先週(第17週)は、主人公・岩倉舞(福原遥さん)や幼馴染たちにとって、久々に明るい展開が続いたストーリーでした。



舞の親友・貴司(赤楚衛二さん)は、ライフワークにしている短歌を、その世界では権威ある「長山短歌賞」に応募。見事、受賞します。



新卒でSEとして就職したものの、温厚な性格に向かない激務に疲れ果て、自分の本当の居場所を探すべく、放浪の旅を続けていた貴司。

師匠の八木(ピース・又吉直樹さん)に勧められた短歌の創作活動に打ち込み、苦労を糧に、ようやくにして、その努力が報われた瞬間でした。第4週より。



そして、幼馴染もうひとりの久留美(乃木坂46・山下美月さん)。同じ病院で働く八神医師(中川大輔さん)と、婚約することに。


久留美も久留美で、ここに至るまでには、幼少期から平坦ではない経緯が、劇中では描かれて来ました。こんな笑顔の久留美は見たことがないほどですので、なおのことこれは良かったなあ、と感じたのですが…



後日。作中では度々登場するラグビーカフェ「ノーサイド」を貸し切って、両家の顔合わせが行われることに。久留美にも、父・佳晴(松尾諭さん)にとっても、思い出深い場所です。


ただ、肝心の八神医師は現れず。やって来たのは、八神医師の母・圭子(羽野晶紀さん)でした。



そこでなんと、八神母は、久留美との婚約はなかったことにすると言い放ちます。




佳晴が定職に就いていないこと、両親が離婚していることを引き合いに、息子と結婚させる訳には行かないのだと。



呆然とする久留美に、八神医師が入れ替わりに駆けつけて、こう説得をはじめます。



父親にも、婚約解消を持ちかけられている。ただ、久留美のことを愛している。両親を必ず説得するので、安心してほしいと。

ここまで、視聴しているわたしなどにしてみれば、あまりにもあっと言う間の出来事。そう一方的に宣告された背景がなかなか理解出来ず、ぽかーんとすらしてしまっていたのですが…



さらに後日。起きて来た久留美は、面接に行くのだと準備している佳晴の姿を見つけます。

久留美が知らぬ間に、八神医師は佳晴と会い、就職先を斡旋してくれていたのだと。



自分になんの話しもなく、佳晴との間で勝手にさまざまな話しを進めていた八神医師に、久留美はここに来て不信感を抱いた様子。




そして、八神医師は久留美の言い分を聞かず、このようなことを告げます。こうして結婚するに至っても、不幸に苛まれている久留美を、自分が救ってあげたいのだと。



このシーンは、先週最大のショッキングなものでした。価値観の相違、という言葉などでは到底片付けられない、あまりにも偏った見方を久留美にしていたのか、ということ。


久留美と結婚出来ないのは、佳晴のせい。
佳晴が居るがために、不幸に陥っている久留美を助け出す。そのために、定職に就いていない佳晴のことを「ちゃんと」しないとならない。


しかし…どうしても腑に落ちないのは、八神医師がそれを本意としてやっている様子も、あまり感じられないということでしょうか。

親から結婚を反対されているから、反対される要因を、表面だけでも解消させたいという意図が、どうしても見て取れて仕方がありません。


ここで、八神医師の言う「ちゃんと」とはなんなのか。もっと突き詰めると「普通」とはなんなのでしょうか。


実は「舞いあがれ!」というこのドラマにおいては、これは、根底に潜んでいるテーマのようにわたしは感じます。

八神医師のように、立派な家に生まれ、社会的に高い職に就くことが「ちゃんとした人生」だと定義づけることも、実は間違いではない。



一方の久留美。小学生の頃に、家を出て行くと決めた母・久子(小牧芽美さん)が、それを翻意してくれると考え、わたしはお父ちゃんと居る、と告げた瞬間から、父と生きていく、世話をするという意を決したようでした。




どちらが好き、嫌い、というのではなく、年端が行かない時だとは言えど、母ではなく父について行くと自分が決めたことを、翻意することなく頑なに守っている節があります。責任感の強い久留美の性格、でしょうか。第7週より。





しかし、佳晴はその後も仕事が続かず、家でひたすら不貞腐れている姿もありました。それでも成長した久留美は、いまで言う「ヤングケアラー」をし、成長すると、母親と同じ看護師の道を辿ることになります。

彼女にとって母親と同じく、大切な存在の父親を、八神医師と母ははなから否定してしまったのでした。第3・4週より。



「ちゃんと」とか「普通」という言葉に、万人に通ずる定義などというものは、決して存在し得ないことは、言うまでもありません。

当事者が「普通」だと思えていれば「普通」でしょうし、それは「平穏」とか「幸せ」にも置き換えられるものなのではないでしょうか。



「ノーサイド」での一件の後。マスターの津田(たくませいこさん)とともに訪れた「お好み焼 うめづ」で、佳晴はつい、このような本音を漏らしてしまいます。



しかし、大将の勝(山口智充さん)や、津田の言葉というものは、佳晴のこれまでを良く理解しているからこそのもの。


娘の久留美の幸せを願う佳晴にとって、それを阻んでいるのは、いつも自分自身。ただし、そういった負い目があることを、いちばん理解しているのは、他ならぬ久留美でした。



佳晴が、不器用ながらも、娘の久留美を大切にし、幸せを願っているのは、紛れもない事実。

その佳晴を否定されたことというのは、久留美自身の生き方を否定されたのと、ひょっとして同じことだったのかも知れません。


ただ、この作品は決して「自己犠牲のドラマ」ではないと、わたしは感じます。久留美は久留美で、先ほど述べたような、本当に大切と信じられる価値観のもとで生きて来たのですから。



舞と、母のめぐみ(永作博美さん)もそうなのでしょう。舞は、夢にまで見たパイロットの夢を直前で断念していますし、めぐみは、夫の浩太(高橋克典さん)が急逝した後に、苦悩を重ね、必死に会社を再建したのですから。

それも、誰かに言われてしている、というのではありません。あくまで、自分自身で決めて行動していること。IWAKURAの場合は、航空機部品を製造するという、浩太の夢がふたりの原動力になっているのですから、なおのことです。



世間体、は確かに大事なものなのかも知れません。ただ、そんなことより、世の中には大切な人の絆というものがあるのですから。

しかしこういった何気ない、時にはすたかんな表現をするような中にも、この父娘は、互いを気遣い、大事に思っている事実を、そのような描写が登場するにつけ、深く感じるものがあります。2人のコミュニケーションでしょうね。


当の本人たちが、平凡ながらでもそれが幸せな生活だと思えることの大切さ。かけがえのないことだと思えますし、それを続けられている佳晴と久留美というのは、本当にいい関係です。

他人に自分の価値観を決めつけられるほど、久留美には、悔しい思いはなかったでしょうに。



そういえば、先ほどの津田さんはこんなことを言っていました。ひょっとするとこれは、昔からよく知る佳晴のことなんやろうかな、とも思えたりします。第17週より。


ところで、佳晴は八神母にこのようなことを叫んでいました。不器用ながらも、かつてはラグビーの実業団チームで「ドーベルマン望月」というほどの諢名で、活躍したという佳晴。



おそらくはですが、佳晴は「東大阪市花園ラグビー場」を本拠地にしている「花園近鉄ライナーズ」に所属していた選手だったのでは。鴻池イオン(市内鴻池町)にて。




となると、最近の放送回で「ノーサイド」に頻繁に登場する「ラグビーワールドカップ2019」が、鍵になりそうな気がします。

劇中は現在2013(平成25)年ですが、史実では花園で国際試合が、4ゲーム開催されました。



久留美の幸せを願いたいのはともかくですが、佳晴がラグビーで生き生きと復活する姿も、ぜひに見てみたいもの。期待したいと思います。第17週より。

次回に続きます。

今日はこんなところです。