みなさんこんにちは。今日の話題です。
昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。
このドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしています。
先週は、第17週「大きな夢に向かって」前後編↑
読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023(令和5)年1月29日付け 7面より。
それでは、第18週「親子の心」編を振り返ることにいたします。今回も、前後半に分けてお送りしたいと思います。
先週(第17週)は、主人公・岩倉舞(福原遥さん)や幼馴染たちにとって、久々に明るい展開が続いたストーリーでした。

佳晴が定職に就いていないこと、両親が離婚していることを引き合いに、息子と結婚させる訳には行かないのだと。

このシーンは、先週最大のショッキングなものでした。価値観の相違、という言葉などでは到底片付けられない、あまりにも偏った見方を久留美にしていたのか、ということ。

久留美と結婚出来ないのは、佳晴のせい。
佳晴が居るがために、不幸に陥っている久留美を助け出す。そのために、定職に就いていない佳晴のことを「ちゃんと」しないとならない。
しかし…どうしても腑に落ちないのは、八神医師がそれを本意としてやっている様子も、あまり感じられないということでしょうか。
親から結婚を反対されているから、反対される要因を、表面だけでも解消させたいという意図が、どうしても見て取れて仕方がありません。
実は「舞いあがれ!」というこのドラマにおいては、これは、根底に潜んでいるテーマのようにわたしは感じます。
八神医師のように、立派な家に生まれ、社会的に高い職に就くことが「ちゃんとした人生」だと定義づけることも、実は間違いではない。
どちらが好き、嫌い、というのではなく、年端が行かない時だとは言えど、母ではなく父について行くと自分が決めたことを、翻意することなく頑なに守っている節があります。責任感の強い久留美の性格、でしょうか。第7週より。

しかし、佳晴はその後も仕事が続かず、家でひたすら不貞腐れている姿もありました。それでも成長した久留美は、いまで言う「ヤングケアラー」をし、成長すると、母親と同じ看護師の道を辿ることになります。
彼女にとって母親と同じく、大切な存在の父親を、八神医師と母ははなから否定してしまったのでした。第3・4週より。

しかし、大将の勝(山口智充さん)や、津田の言葉というものは、佳晴のこれまでを良く理解しているからこそのもの。

娘の久留美の幸せを願う佳晴にとって、それを阻んでいるのは、いつも自分自身。ただし、そういった負い目があることを、いちばん理解しているのは、他ならぬ久留美でした。
ただ、この作品は決して「自己犠牲のドラマ」ではないと、わたしは感じます。久留美は久留美で、先ほど述べたような、本当に大切と信じられる価値観のもとで生きて来たのですから。
舞と、母のめぐみ(永作博美さん)もそうなのでしょう。舞は、夢にまで見たパイロットの夢を直前で断念していますし、めぐみは、夫の浩太(高橋克典さん)が急逝した後に、苦悩を重ね、必死に会社を再建したのですから。
それも、誰かに言われてしている、というのではありません。あくまで、自分自身で決めて行動していること。IWAKURAの場合は、航空機部品を製造するという、浩太の夢がふたりの原動力になっているのですから、なおのことです。

当の本人たちが、平凡ながらでもそれが幸せな生活だと思えることの大切さ。かけがえのないことだと思えますし、それを続けられている佳晴と久留美というのは、本当にいい関係です。
他人に自分の価値観を決めつけられるほど、久留美には、悔しい思いはなかったでしょうに。
そういえば、先ほどの津田さんはこんなことを言っていました。ひょっとするとこれは、昔からよく知る佳晴のことなんやろうかな、とも思えたりします。第17週より。
久留美の幸せを願いたいのはともかくですが、佳晴がラグビーで生き生きと復活する姿も、ぜひに見てみたいもの。期待したいと思います。第17週より。
次回に続きます。
今日はこんなところです。