みなさんこんにちは。前回からの続きです。
3年振りに、今年は現地開催となった鉄道イベント「きんてつ鉄道まつり」。
会場の「五位堂検修車庫(奈良県香芝市)」の訪問記をお送りしています。

さて、前回までは、この「五位堂検修車庫」で検査や修理を手掛けている、同じ近鉄でも線路幅が異なる「南大阪線系統」の車両を、どのようにして入出場させているのか…ということについて、触れてまいりました。出典①。

専用の電動貨車を使用しての、手間暇がかかる作業工程。広大な路線網を有する、近鉄電車ならではの設備だと、感心しきりです。
検修車庫の内部に置かれていた、たくさんの台車。さまざまな種類があるのでしょうね。


さて、そんな中。東大阪に住むわたしにとっては実に馴染み深い、この車両を見つけました。「けいはんな線」で運用されている「7000系」という車両です。

車両全体にかけて深い丸みを帯びたデザイン。
近くで観察してみますと、これほどのものだったのかとあらためて感心します。
「けいはんな線」は、「長田駅(大阪府東大阪市)」を起点に東へ、府県境の生駒山を越えて「学研奈良登美ヶ丘駅(奈良市)」へと至る、全長18.8kmの路線です。出典②。
2006(平成18)年3月に、全線開業しました。

「長田駅」から西側へは「OsakaMetro中央線」と相互乗り入れしていて、大阪湾岸のベイエリア「コスモスクエア駅(大阪市住之江区)」までの、全長17.9kmとつながっています。
合計、30kmを超えるこの両線を合わせて「ゆめはんな」という路線愛称がつけられている、奈良と大阪湾岸を直結する大動脈です。出典同。
具体的には通常鉄道のように、屋根上の架線に流れる電気を、パンタグラフを介して集電するのではなく、線路脇に設けられた「サードレール(第三軌条)」から走行に必要な電気を採っているということです。
これはここのみならず日本の地下鉄では、標準的な規格です。
「けいはんな線」は「中央線」を延伸する形で建設されたために、大阪市内から外れた区間は近鉄電車の路線として建設されました。出典③。
そのために、近鉄側がOsakaMetro(開業当時は大阪市営地下鉄)側の「第三軌条」という規格に合わせた、という経緯があります。
そういったことで、こちらの車両は通常鉄道では標準的な「パンタグラフ」を持たないという、特殊な車両です(軌道幅は標準軌で「大阪線」と同じ)。
先日の軌道幅が異なる「南大阪線系統」とはまた事情が違い、軌道幅は同じでも、集電方式に大きな違いがあることがわかります。
それがこちらの工場で整備を受けているというので、やはり特別な運ばれ方をされています。以上、新石切(大阪府東大阪市)にて。
「大和西大寺駅(奈良市)」からは「橿原線」で南下。さらに「大和八木駅(同橿原市)」付近に設けられている連絡線を経由して「大阪線」へ。出典②。
大和八木駅から5つ目で「五位堂駅」に到着。
駅の大阪方にある、この検修車庫に入庫…という経路で、冒頭の電動貨車とはまた別の専用車両により、はるばる輸送されています。
画像を探していましたら、その「けいはんな線」と「奈良線」とが並走する区間の様子を見つけました。グーグル地図より。
そして「生駒駅」に到着。県内では北東のターミナルで、合計4路線が集う、繁華な駅です。
乗車して来た「奈良線」と「けいはんな線」は、この先府県境の「生駒山」を長大なトンネルで通過、河内平野が広がる大阪府内、東大阪市へと入って行きます。
「新生駒トンネル」を抜け、大阪府内に入ったところがこの「新石切駅」。
青々とした山肌がすぐそこに迫る生駒の山の向こうは、もう奈良・生駒です。以上、2020(令和2)年6月撮影。
普段使いの電車にまつわる、目につかない日々のメンテナンスの様子。実に興味深いものがあります。
次回に続きます。
今日はこんなところです。
(出典①「ヤマケイ私鉄ハンドブック13 近鉄」廣田尚敬写真・吉川文夫解説・山と渓谷社発行 1984年7月)
(出典②近鉄ホームページ)
(出典③OsakaMetroホームページ)