みなさんこんにちは。前回からの続きです。
3年振りに、今年は現地開催となった鉄道イベント「きんてつ鉄道まつり」、その訪問記をお送りしています。
さて、たくさんあるどの展示から拝見するか、はたまた、グッズ販売を先に覗いて行くか、うれしい悩みなのですが…

グッズ販売ブースの裏側にある、この機材置き場にまず目が行ってしまうというのは、なんとも天の邪鬼?なわたしらしいというか(汗)


車両の屋根上に設置されている、クーラー室外機でした。記されている覚え書きの中身も気になるところです。見た目はあたらしいので予備品でしょうか、修理中なのでしょうか。

その隣には、またも釘付けになる光景が広がっているではないですか。

床下にぶら下がっている主電動機。
メカのことはさっぱりなのですが、この丸っこいのはわかります。
そして、その奥には畳まれたパンタグラフが整然と並べられています。これはおもしろい。
いまさらですが、鉄道で言うところの「パンタグラフ」とは、車両のさらに上部に張られている架線から、電車の走行などに必要な集電をする装置です。先ほど、乗車して来た準急より。


普段は、屋根上に上げられた状態でしか見られないもの。サイズが分かりにくくて恐縮なのですが、横幅は1.5mくらいありましょうか。
これが立ち上がると、わたしの背丈など優に超えそうなしろものです。

それはさておき、隅々まで観察が出来る貴重な機会です。ありがたい。素材はアルミが主だそうですが、意外にもその骨格は細いのですね。
直角に二本、並べて取り付けられているのは「擦り板」。架線からこの板を通して電気を採っているものです。
ここが架線と接触している場所に当たります。
架線というのは「遊び幅」を計算し、ゆとりを持って張られているため、意外にも良く揺れるものです。そのため、高速で走行する電車のパンタグラフとは、このように広い範囲で接触箇所があることが、その汚れ方からわかります。
そして鉄道車両では良く見かけるこのマーク。鉄道関係の電気設備や、運転器具などを幅広く手掛けている、国内では大手メーカー「東洋電機製造」のものとわかります。社名を英字表記し、その頭文字を取った「TDK」です。
「鉄道部品メーカー」は国内でも複数存在していますが、こちらの「東洋電機製造」はその中でもパイオニア的存在として知られています。
現在、鉄道車両に関わるさまざまな同社の電装品は、国内外多数の鉄道会社で採用されるに至っているのですが、こちらの近鉄でもそうなのでした。
余談ですが、京阪電車に縁のある人物が創業者ということで、京阪ではすべての車両の電装品に同社のものが、令和の現在でも使用されています。出典同、三条にて。
さらに、現在では京阪電車と競合関係にある「阪急京都線」系統の路線。淡路にて。
もともとは、戦前に京阪資本で建設した「新京阪鉄道(後に京阪電車新京阪線)」という会社でした。関西初の地下駅として開業した「京阪京都駅(現在の阪急電車大宮駅)」。出典同。
戦後、混乱の中でこれら路線は、当時の国策で強制的に合併させられていた阪急に、分離する際に割譲されたのですが、神戸線や宝塚線系統の車両が他社の電装品を使用する中、京都線系統のそれは「東洋電機製造」のものがいまも主になっています。
運転台の、左側のマスコン(主幹制御器)に「TDK」マークがわかります。3300系車内より。
おそらくはですが、戦前のそういった関係性が今日まで、続いているのかも知れません。十三にて。
近鉄電車のイベントに来ているのに、京阪電車や阪急電車の話しになりましたが(苦笑)
そういった歴史の経緯というのも、ひもといて行くと、大変興味深いものがあります。
次回に続きます。
今日はこんなところです。
(出典①「京阪電気鉄道株式会社開業50周年記念誌 鉄路五十年」京阪電気鉄道株式会社編・刊 昭和35年12月発行)