みなさんこんにちは。前回からの続きです。
先日、9日まで「阪急百貨店うめだ本店(大阪市北区)」で行われていた「鉄道模型フェスティバル2021」を訪問した際の様子をお送りしています。

さて、鉄道模型各社の新製品展示を拝見して来まして…それだけでもお腹いっぱいなのですが
見どころはまだまだあります。

毎年展示される、阪急沿線の情景を忠実に再現したジオラマ。
こちらも目玉ではあるのですが、今年は「王子公園駅」がテーマになっていました。

「Wikimediamap」より、上が南です。
題材となっている「王子公園駅」の所在地は、神戸市の灘区。海側には阪神とJRが並走していて、2駅ほど西へ行きますと「三宮(さんのみや)」。山側には、山陽新幹線の「新神戸駅」が近いところという、交通至便な土地です。

その一角、緑濃い「王子公園」や「王子動物園」に隣接している「王子公園駅」を拝見して行くことにしたいと思います。
早速、気になるものを発見しました。
駅の大阪方(東側)に、本線から分岐している行き止まりの複線が。架線はありません。
地図で確認しますと、このような感じ。
40〜50メートルくらいはあるでしょうか。

わたしも実は、この引き込み線の存在は車窓から知ってはいました。
不思議な行き止まりの複線だと思っていたのですが、阪急が三宮に乗り入れる前に、市内へ暫定的に直通していた、「上筒井線(かみつついせん)」と呼ばれる路線の痕跡だとのこと。
毎度おなじみ「Wikipedia#王子公園駅」には…
神戸本線開業時の終着駅であった上筒井支線上筒井駅(1940年廃止)方面へと線路が続いていた名残として、駅の大阪側に引き込み線があるが、阪神・淡路大震災直後の区間運転の車両の搬入に利用された後は使われていない。

ということで、ここから西方向へ向けて、かつて複線で分岐していたことがわかりました。
ちなみに「上筒井駅」というのは、手前の道路沿いの数百メートル西にあった暫定ターミナル駅だったそうで、市内中心部へは、そこから神戸市電で連絡を図っていたとのこと。これははじめて知りました。

また、記載にあるように、1995(平成7)年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」で「阪急神戸線」も各所で甚大な被害を受けました。

次第に復旧工事が進められたものの、車両基地とつながっていない区間の復旧が先になったため、この引き込み線を用いて車両が搬入されたことも、忘れてはならない経緯です。
一部復旧し、区間運転されていた阪急電車。
花隈、三宮(現在の神戸三宮)にて。1995(平成7)年3月に撮影。



さて、ジオラマを拝見して行くのですが、本当に、細部まで再現されてますね…すごいです。

駅の西側には、阪神間の重要な基幹道路「山手幹線」が通過。それを跨いでいるアーチ状の高架橋は実に瀟洒なデザインです。
ちなみに、これをまっすぐ西に行くと、山陽新幹線の「新神戸駅」の南側に出ます。

阪急が現在の高架線で、三宮に乗り入れた際の1936(昭和11)年に建設されたもので、デザインもながら、機能性にも優れたもので、昨年には「土木学会選奨土木遺産」なるものに認定されたそうです。
都合、築80年以上になるものですが、先の戦争の戦火や震災をも乗り越えて、いまだ現役ということを鑑みると、偉大な遺産ですね。

思わず、その緻密さに食い入ってしまうジオラマはまだまだ続きます。
今日はこんなところです。