(2016年7月14日アップ分を再編・再掲)
みなさんこんにちは。前回からの続きです。
北海道・空知平野の中央部に位置する「新十津川町(しんとつかわちょう、空知管内新十津川町)」にやって来ました。
まだ、朝の9時をまわったところです。
町役場を出て、すぐ近くから発着しているという「札沼線(さっしょうせん)新十津川駅(しんとつかわえき)」に向かうのですが…
別段、標識があるわけでもなく、ごくごく普通の住宅地なので、これで方角が合っているのか?と少し不安になります。
その沿道には「チューリップ」を見かけました。ここまで旅をして来て、家庭の軒先で植わっているものの他に、このように自然の野に咲いているものもたくさんあったように感じます。目の保養になります。
「住宅街」とはいうものの、少し進むと農協のレンガ倉庫があったりします。
現役で活用されているもののようですね。
その住宅街を抜けたところで、急にこの花畑が現れました!
まさに「春真っただ中」(訪問当時は5月中旬)を思わせる情景です。
実はそこが、目指していた「新十津川駅(しんとつかわえき)」でした。これは見事なまでの「メルヘンチックな情景」ですね。
地図を見てみますと、先ほどの町役場からはまっすぐ進んだところだったのですね。
しかし、教えてもらわないと思わず見過ごしてしまいそうな、小さな終着駅です。
では、さっそく駅舎内の様子を見てみたいと思います。
「無人駅」ということなのですが、それを感じさせられない明るい印象を受けます。
鉄道で旅していますとよく見かける「記念ノート」があります。旅先ではおなじみの光景です。
ところで、先日の記事で「この駅が今春のダイヤ改正で注目されることとなった」ということを述べたのですが、その理由は駅舎内、この時刻表にありました。
この「新十津川駅」を発着する列車が、今春のダイヤ改正から2本減便され、なんと「1日1本」のみになったのです。
路線バスなどではそういった例を見かけることはあるのですが…これは驚きです。
「道内時刻表 平成28年5月号 #札沼線(学園都市線)」(交通新聞社発行)より。
「石狩当別 07:45発→新十津川 09:28着」の列車。「唯一の到着便」です(赤い↓)。
そして、12分の折り返し時間で「新十津川 09:40発→石狩当別 11:03着」。これが「唯一の発車便」です(赤い←)。
この事実だけを見ますと、その「札沼線(さっしょうせん)という路線はあまねく大変なローカル線」のように思えるのですが、実際はどっこい真逆で、札幌市内から途中の「石狩当別駅(いしかりとうべつえき、石狩管内当別町)」や「北海道医療大学駅(ほっかいどういりょうだいがくえき、同)」までは、沿線の開発が急速に進んで人口も急激な増加傾向にあり、数年前には交流電化が行われ、列車の増発も行われるなど、沿線は「札幌のベッドタウン」として存在感を示しています。
ただ「北海道医療大学駅」から先は電化されておらず、短い編成のディーゼルカーが運行されている区間へと変貌します。
時刻表をひもといてみますと…
札幌(さっぽろ、石狩管内札幌市北区)
↓ ↑
57本 53本
↓ ↑
あいの里公園(あいのさとこうえん、同)
↓ ↑
38本 39本
↓ ↑
石狩当別(いしかりとうべつ、同当別町)
↓ ↑
28本 27本
↓ ↑
北海道医療大学(ほっかいどういりょうだいがく、同)
↓ ↑
8本 7本
↓ ↑
石狩月形(いしかりつきがた、空知管内月形町)
↓ ↑
6本 6本
↓ ↑
浦臼(うらうす、同浦臼町)
↓ ↑
1本 1本
↓ ↑
新十津川(しんとつかわ、同新十津川町)
というように、「札幌都市圏から離れるごとに列車本数が漸減、そして激減していく」という、極めて特徴のある運転状況がわかります。
それにしても、「1日1往復のみの運転」とは…
「乗客がすくないゆえ」と言えばそれまでかも知れませんが、逆に言うと「1日1本でも列車が通っているので車両や設備を最低限でもメンテナンスしないといけない」という事実も存在するわけで、「赤字のリスク」と「これらメンテナンスの費用」というパワーバランスにおいて、1往復まで減便してもなおこの区間を存続させたのは何か特別な事由があったりするのかな、などと勘ぐったりしてしまいます。
ところで、この「札沼線」には「学園都市線(がくえんとしせん)」という愛称がつけられています。
沿線に学校が複数、存在していることからだそうですが、「北海道医療大学駅」から先の電化されていない区間には、この「学園都市線」という愛称は用いられていないようです。
なかなか複雑ですが、まるで別の路線の扱いのようにも思えます。
また、正式な路線名称である「札沼線」の由来についても触れておきたいのですが、「札」というのは、一方の起点である「札幌」であることは想像がつきます(正式な起点駅は「札幌駅」のひとつ隣にある「桑園駅(そうえんえき、石狩管内札幌市中央区)。
ただ「沼」という文字が使用されている駅や市町村区は、実はこの「札沼線」には存在しません。
では「沼」はどこから来ているのかというと…
終着駅の「新十津川駅」からさらに北へ地図をトレースして行きますと、「石狩沼田(いしかりぬまた、空知管内沼田町)」という駅に突き当たります。
この「石狩沼田駅」は、「深川駅(ふかがわえき、空知管内深川市)」から分岐している「留萌本線(るもいほんせん)」の途中駅なのですが、「札沼線」という名称にある「沼」とは、この「石狩沼田」を指すものです。
そういうことで、もともと「札沼線」は「新十津川駅」から先、地図にある「雨竜(うりゅう)、和(やわら)、碧水(へきすい)」といった町々を経由、「石狩沼田駅」までを結んでいたことから、「”札”幌・石狩”沼”田」という両地点の地名を一文字ずつ取って命名された訳です。
ただ、現状にはそぐわない名称ということなので、先ほど触れたように「学園都市線」の愛称が用いられているようです。
ちなみに「新十津川~石狩沼田間の廃止」は昭和47(1972)年のことだそうです。
「石狩沼田駅」についてはこちらもどうぞ↓
当ブログ
「JR北海道 全線完乗への道!その27」(2016年7月2日アップ)
https://ameblo.jp/kyle-of-lochalsh/entry-12477821701.html
(旅の第2日目で「留萌本線」に乗車、「石狩沼田駅」を通りました)
この「沼田」という地名、駅名の由来も、やはり「北海道開拓」にまつわる、興味深いものでした。
いや、こうしてさまざまな視点から見るだけでも、鉄道趣味的に大変興味深いことばかりです。
では、駅構内を観察して参りたいと思います。
次回に続きます。
今日はこんなところです。