社会実験BRT「いまざとライナー」の沿線を巡る その22 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

 

 

今年4月から、「OsakaMetro今里筋線」延伸計画区間の需要喚起や今後の工事の検討を目的に、「BRT(Bus Rapid Transit)」という、鉄道に匹敵する速達性、定時性を備えた方式により「社会実験」として運行が開始された、大阪市東部を南北に走る「大阪シティバス」の「いまざとライナー」に乗り、沿線をあちこち巡った際の様子をお送りしていました。

 

今日は、その総括という意味合いで記事をお送りしたいと思います。

 

 

もともと、「今里(いまざと、大阪市東成区)」が終着駅となっている、市内東部を南北に路線を延ばす「OsakaMetro今里筋線」は、そもそもの路線計画区間として、「今里~湯里六丁目(同東住吉区)」までも建設が予定されていました。

 

 

ただし、その延伸区間(今里~湯里六丁目間)の旅客需要や、この区間のさらなる建設費の償還などの課題があり、現在では「延伸建設凍結」となっているのですが、この延伸予定区間の需要創出や、延伸した場合の旅客需要などを算出し、今後の延伸計画の判断材料とするため、今年4月から「BRT(Bus Rapid Transit)」という、いわゆる「急行バス」として、「今里駅」で「今里筋線」に接続する形(「今里筋線」をそのまま延伸させているという前提)で、「あべの橋ルート」・「長居ルート」という2系統の運行が開始されたのが「いまざとライナー」です。

 

 

運行開始から4カ月が経過しようとしているその「いまざとライナー」ですが、「OsakaMetro」の公式ホームページを見ていますと、かような記事が掲載されていました。

 

 

 

7月30日付けのプレスリリースなのですが、4月1日から「社会実験」として運行が開始された「いまざとライナー」の利用状況について、その暫定値が発表されていました。これを少し探って、このシリーズを締めくくりたいと思います。

 

 

先ほども触れましたが、「今里筋線」のそもそもの路線計画は、現在の終着駅「今里」からさらに南へ約7kmほど下った「湯里六丁目(大阪市東住吉区)」というところです。


「いまざとライナー」は、その路線計画の通り、「今里」から「湯里六丁目」を経由する「長居ルート」、そして、途中の「杭全(くまた、同)」から西へ折れ、沿線に最も近い一大繁華街「あべの・天王寺」に至る「あべの橋ルート」の2系統が運行されるに至りました。

 

 

それでは、公表された暫定値の集計を見て行きたいと思います。4月から6月までの値が掲載されていました。


まず「長居・あべの橋ルート」2系統合計のもの。両ルートとも「平日94便、土・休日70便」が運行されています。1日平均の利用客数は、平日と土休日ではばらつきがあるものの1200~1900人台、一便あたりの利用者数は8~10人ほど。

 

 

 

「長居ルート」のもの。平日の利用客数は1000人を超えるものの、休日の利用客数はそれを下回っているようです。

 

 

 

そして、一大繁華街「あべの・天王寺」を発着する「あべの橋ルート」のもの。


暫定値とは言え、ちょっと意外だったのは、繁華街を通らない「長居ルート」よりも、こちらの「あべの橋ルート」の方が、利用客数が少なかったということでしょうか。

「今里筋」沿線を経由して「杭全」から「あべの・天王寺」へ直通する系統のバスは「いまざとライナー」以外にはないので、個人的には「あべの橋ルート」のバスが走るようになって、利用客も増えていたのでは…と勝手に思っていましたので、繰り返し意外に感じられます。

 

 

暫定値については、平日については徐々に増加傾向にあるものの、土・休日については横ばいの状況であるとのこと。

 

 

ただし、「いまざとライナー」利用者数のカウントは、バスに乗車する際、リーダーにICカードをタッチする形で主に行われており、これが周知されていないのか、あるいは、記載にあるように、ICカード以外の乗車券類での乗車(今回、磁気式の「一日乗車券」を利用したわたしもそうでしたが)はカウントされていないようですので、実際には公表された値以上の利用がなされているものと思われます。

 

また旅客数の値は、利用区間の長短に関わらずトータルでカウントされているようですので「どの区間でどのくらいの利用があったのか」という、詳細な状況については今回は公表はされていませんでした。個人的には気になるものですが…

 

 

この「いまざとライナー」の社会実験は、3年後にいったん運行による効果の検証を行った後、向こう5年後までの運用が計画されています。

その後、再度の効果検証を行った後に「今里筋線」延伸についての、なにかしらの判断が行われることになりそうです。

 

 

開業から今年で13年経過するも、都心に直結していない路線であるがゆえ、思うように乗客数の増加が進んでいない「今里筋線」。

ただ、手をこまねいているだけではなく、本来の計画であった「湯里六丁目」を含む区間の他にも、近隣の主要駅までの連絡を図ることで、あらたな旅客流動の創出を目指す、画期的な社会実験である「いまざとライナー」の運行について取り上げて来ました。

 

個人的な感想ですが、正直、暫定値とは言え、計画通りに地下鉄を延伸するとなると、この利用客数では難しいのでは…と思ってしまったのが実際のところです。

ただし、先ほども触れましたが、「いまざとライナー」は一大繁華街の「あべの・天王寺」に直結している、という利点は結構大きなことだと感じます。認知度がもっと向上すれば、また状況も変わって来るのかな?と、ふと思った次第です。今後も続けられるこの社会実験、動向が大変気になります。

 

シリーズにおつきあいくださりありがとうございました。

今日はこんなところです。