みなさんこんにちは。前回からの続きです。
「4駅名称変更」や「新塗装編成の登場」など、新時代へ変貌しようとしつつある「京阪電車大津線」を、気ままに巡る旅をしています。

「比叡山への登り口」に当たる、石垣の建物が印象的な門前町「坂本」でした。散策を少々したのち、再び「石山坂本線・坂本駅」へと戻って来ました。
ここからも、折り返して「大津線乗り鉄」を続けたいと思います。

改札を入りますと、まもなく折り返しの電車がやって来るようです。
がらんとしたホームの先端部で、しばらく待っていますと…その姿が見えて来ました。


折り返しの「石山寺ゆき」は「旧塗装」の「600形」でした。
少し傾斜した正面の顔は、この車両の少し前に登場した「京阪線6000系」の影響を多分に受けているものと言われています。
昭和59(1984)年から登場した「大津線初の冷房車両」です。
ラッピングはされていない、オリジナルな塗装のものですが、徐々に「新塗装」への塗り替えが進んでいるので、いい記録になりました。

発車まで少し時間があるので、ちょっとこの編成を観察。
「800系 誕生20周年」のヘッドマークを掲出していました。

併用軌道を走る「800系」。「京都市営地下鉄東西線」へ乗り入れ「太秦天神川駅(京都市右京区)」へと向かう。浜大津~上栄町間にて。
今回、取り上げている「4駅名称変更」や「新塗装化」と比類するほど「大津線」の歴史の中で重要な節目となったであろう「京都市内路面電車区間の廃止」と「地下鉄東西線への乗り入れ」(1997年10月)に合わせて登場したのが、この「800系」という電車でした。その「記念ヘッドマーク」です。

続いては、車両側面を観察してみます。15m級車体なので、扉は2枚です。

電車を観察するに当たり、いつも個人的に気になるのは、この「妻面(つまめん、運転台がついていない連結面)」まわりです。

2両編成のどちらの車両(603-604号車)ともに、少し丸みを帯びた妻面です。もともと、この「600形」は昭和30~40年代はじめに製造された「260型」「300型」という電車の車体を流用して改造(書類上は「新造」)された経緯があり、この「丸みのある妻面」は、種車となった車両の名残とも言えます。
現在の「大津線」では「完全新製車両」である、先ほど触れた「800系」以外の車両は古い車両の車体を流用し、沿線の「錦織工場」で改造を施したというもので占められています。一部の車両だけではなく、大量に「自社製造」を施したという例は、他にはあまり見られないケースだと思われます。

もっと言うと、この「600形」も登場時期によって種車が異なる(1次車は「300型」、2~4次車は「260型」)というこまかな差異や、正面の顔つきも「二枚窓が側面まで回り込んでいるもの」と「そうでないもの」(1次車であるこの「603-604号車」は後者に当たる)があるものの、改造車両である経緯がわからないほど、よく整備されているものだと個人的には思います。

そうこうしているうちに、発車のアナウンスが。電車に乗り込みます。

路線の北端に位置する(「京阪電車」としても「路線の北端」に当たる)この「坂本駅」から、今度は南方向へと下って行くことにします。

始発駅でしたので、やはり運転台後方の「かぶりつき席」が空いていました。せっかくなので、ここでも前面展望を楽しみたいと思います。

踏切が閉じられ、ゆっくりと発車します。

「両渡りポイント」を渡り、平成の世になってから「再複線化」された区間を進みます。開業時は「複線」だったのですが、戦時中の鉄材供出でこの区間は「単線化」され、後年になってようやく「再複線化された」という経緯のある区間です。

こまかいアップダウンがあるものの、カーブは少なく、電車は快速で飛ばして行きます。すれ違う2両編成の「坂本ゆき」、なかなか絵になります。

しばらくしますと、左隣に留め置かれた車両群が見えて来ました。
行きにも取り上げましたが「近江神宮前駅」に隣接している「錦織車庫(にしごおりしゃこ)」です。


下り線(坂本方面)に電車が停まっています。
テールライトが「赤色」なので、進行方向はこの電車と同じ「石山寺方面」の電車であることがわかります。
往路に見かけた「近江神宮前」折り返し列車の風景です。

その、右側に停まっている電車も「600形」。
いま乗車しているのも「600形」ですが「正面顔のガラスが側面にまで回り込んでいる」という違いがあるので、製造時期の差異がこれで識別することが出来ます。
停車している電車は、乗車しているこの「石山寺ゆき」が発車したのちに、
上り線ホームへと入線して行きます。

複雑に入り組んだポイント(分岐器)がいかにも「車庫・車両工場」という感じを受ける「近江神宮前駅」に進入して行きます。わくわくする光景です。
次回に続きます。
今日はこんなところです。