昨日に引き続き、駅で掲出されているあまたのポスターから、目に留まったものについてあれこれ取り上げるという、このシリーズをお送りしたいと思います。

本日、取り上げるのはこちらです。
いまやすでに、京都の人気観光施設となった「京都鉄道博物館」で開催されている「鉄道遺産をたずねて」という企画展のものでした。

長年、日本の産業発展を支えて来たものの中で「鉄道」という分野は、そこで実に大きなウェイトを占めて来たのは、過言ではありません。そんな中で「鉄道遺産」というと、さまざまな種類や分野があるように感じます。

一般的に有名なのは、こちらの博物館のもととなった「梅小路機関車館」のように、廃車となった鉄道車両の展示(ここでは蒸気機関車ですが)でしょうか。
ただ日本においては、このように「博物館で展示される」という事例は、諸外国に比べるとごくごく少ないので、幸運なことではないかと思います。

ポスターにあった、こちらもそうですね。「初代新幹線・0系」です。
こちらの博物館で展示されている車両の中でも、特に主要なものだと聞きますが、昭和39(1964)年10月の東海道新幹線の開業以来、日本の高度経済成長を支えた、偉大な存在であるということは、いまさら申し上げるまでもないことかも知れません。
平成19(2007)年には、日本機械学会によって「機械遺産」に認定されるなど、その意義というのは揺るぎないものではないかとも感じます。

ところで、先述した「保存車両」のような、特にスポットライトを浴びているものだけではなく、普段何気なく利用している鉄道の設備においても、実は大変貴重な「鉄道遺産」が点在していることは、あまり知られていないことかも知れません。
シブいなあ、いいところに目を付けているなあ、と感じたのは、同じポスターにあったこの「短いトンネル」です。
なんの変哲もないようですが、実際、京都府内を走る「JR学研都市線」や「JR奈良線」などには、明治後期のその開業時に、当時の最新技術を用いて建設されたレンガ製のトンネル、特に特徴的なデザインのものが、開業後100年以上経過したいまも数多く残っています。鉄道趣味的(ここでいう「鉄道遺産」)にも、建築学的にも、大変貴重なものだとわたしは感じます。

そういえば「レンガ製の立派な駅建造物」というと、この「折尾駅(おりおえき、福岡県北九州市八幡西区)」駅を差し置く訳には行きません↓
当ブログ
「JR九州 全線完乗への道!その5」(2015年2月2日アップ)
現在は高架工事のため、残念ながら解体されてしまったそうですが…

さらにもっというと、こういった「古レール」を活用した駅ホームの支柱も貴重な「鉄道遺産」です(これは「京成電鉄・京成高砂駅」に展示されているもの。1911年、アメリカ・カーネギー社製造を輸入し、使用していた)。
こちらの「古レール」についてはここで取り上げました↓
当ブログ
「京成電鉄で巡る 東京・下町散策 その11」(2015年11月3日アップ)

使用しなくなったものの転用が主ではありますが、明治初期の日本の鉄道黎明期に製造・輸入されたものが発見されたりすることも過去には幾例もありました(今後もきっとあるのではないかと思いますが)。
阪和線・東佐野駅(大阪府泉佐野市)和歌山方面ホームにて。
このように少し視点を変えると、実は、身近に「鉄道遺産」というものはたくさんあるのではないのかな?と思え、なおのこと「鉄道趣味の視点というのは幅広いのだな」と感じた、企画展のこの告知ポスターでした。
今日はこんなところです。