みなさんこんにちは。今日の話題です。

先日より、わたしが長年、心の支えにしているシンガーソングライター・松阪晶子(まつざか・しょうこ)さんの、ファーストアルバム「夢を眠らせない」(1994年6月17日リリース)の魅力について取り上げております。
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松阪晶子さんの神髄!5th.SINGLE「燃える瞳を持ち続けて」と1st.ALBUM「夢を眠らせない」の魅力について語る 前編(2017年10月5日アップ)
松阪晶子さんの神髄!5th.SINGLE「燃える瞳を持ち続けて」と1st.ALBUM「夢を眠らせない」の魅力について語る 後編(2017年10月6日アップ)

デビューシングル「まっすぐに」のリリース(1993年6月2日)以降、5枚のシングルをリリースしていた晶子さんが、幼少期からの民謡時代、18歳で上京しさまざまな下積みを経て、自身の「シンガーソングライターになる」という夢を叶えることとなった、大変意義のある作品なのですが、前回の記事では、その楽曲たちには「夢」という共通のテーマが根底にあり、それは、晶子さんの実体験に基づいて上梓されたものであったことに触れました。

今日は、そのファーストアルバム「夢を眠らせない」をリリースした、1994年6月頃の、また別の音楽雑誌(「What's In」)からのインタビュー記事を拾ってみたいと思います。
「民謡出身から」という、他のシンガーにはない「独特な人生観、音楽観」を持つ晶子さんの、まさに「全力を出し切った」という、大きな力に満ち溢れているイメージのアルバム「夢を眠らせない」とのイメージとは少し異なる印象が垣間見られる、興味深いものでした。それではどうぞ。
大切な”夢”へ向けての第一歩
93年6月のデビューから約1年、すでに5枚のシングルをリリースしている松阪晶子が待望のファースト・アルバムをリリースする。
シングル曲を中心に収められたアルバムのタイトルは「夢を眠らせない」。現在の彼女にピッタリくるというこのアルバムのタイトルが、意味することとは?(インタビュー・文 亀田 達也)

三つ子の魂百まで、ということか。松阪晶子は、3つの頃から両親に習っていた民謡の練習方法そのままに、自分の音域ギリギリの高いレンジの曲を作り、それを歌いきることが快感だという。1stアルバム「夢を眠らせない」で聴ける彼女のボーカルは、どれも聴く者にハリのある声を思い切りぶつけてくる。まず、そこに松阪晶子の歌の特徴がある。
ここに収められている11曲のうちの10曲はデビュー前に作られた曲(「残りの1曲は、先日取り上げた「燃える瞳を持ち続けて」)で、そこには日々の暮らしに流されてしまいがちな気持ちを奮い立たせようとする強い意思が歌われている。その響きには熱血という形容がふさわしいが、本人は自分の性格が意外にノンビリしていることを強調する。
「”どうにかなるだろうな”っていうふうにいつも考えてしまうんで、何事も。そんなにたやすく人なんて死なないわと思うと、逆に自分はなんでもできると考えちゃうんです。そんなに人生あせらなくても、みたいな。父親が年とってる人なので(この当時、御年74歳だった)、そういうふうに育てられてんですよ。あせってやっても失敗したらしょうがないんだから。じっくりじっくりジーっと待ってて。猫が獲物にシャーって行くように、行ってパクッてつかんで、ホッとして(笑)。またヌクヌクするという」
アルバム収録曲「一秒の未来」には「♪笑い続けていても/泣いていても/私らしければいい」というくだりがある。では、彼女が考える”松阪晶子らしさ”とは?
「う~ん…くじけないってことかな。涙腺弱いんですけどね(笑)あまり悩まないというか、打たれ強い。昔は結構悩むタイプだったんですよ。考え過ぎるがゆえに、ちょっとしたこともすごく気にしちゃってたんですが、だんだん物事を逆の意味に取れるようになってね。そこが大人になったかな。私がちゃんと受け止める心さえ持っていれば、べつに悲しいことも起こることもないなって。だんだん父親に似てきてるんですよ。ホゲーって(笑)。それが気持ちよく仕事できることにもつながってますね」

アルバム・タイトル「夢を眠らせない」は、言葉の意味そのままのメッセージとともに、シンガー・ソングライターになるという夢をかなえた自分に対する自戒も込めている。ここでホッとするのではなくて、さらにその夢を膨らませていくんだという気持ちだ。それでは、さしあたっての次の夢は?
「とりあえず、私ひとりでライブをやり遂げたいってことですかね。でも曲がないですから、あと2、3枚アルバムを出した後かな(この当時、晶子さんがリリースしていた自身の楽曲は、このアルバム「夢を眠らせない」に収録されている11曲のみだった)。来年には2、3枚アルバムを引っ提げて、ライブをドーンとやりたいですね」
とにかくマイペースである。もっとも、もうすでに次のアルバム用に新曲が20曲以上出来ているというから、夢を膨らませる足取りは着々として止まることはないようだ。

翌年、1995年4月8日にリリースされたセカンドアルバム「伝わりますか」。
先の「夢を眠らせない」と、この「伝わりますか」を引っ提げ、同年4月18日、初のワンマンコンサート「SHOKO MATSUZAKA FIRST LIVE」を「渋谷公会堂」で催行した。
先ほども触れたのですが、本題のファーストアルバム「夢を眠らせない」に収録されている楽曲というのは、わたし個人の感想としては「(いい意味で)つけ入るスキがない」とか、「全力で走り切っている」、あるいは「聴き終わった後には、達成感のようなものを感じる」という印象がとても強いのですが、先のインタビューを見る限り、そのあたり、楽曲とご本人の音楽観、もっといえば人生観というのは、実はゆったりしたものなのだなとも感じます。ゆったり、どっしり構えているから、あれほど人間の本質を突いた、味のある楽曲を世に送り出されることが出来るのだろうな、とも思いますが…

セカンドアルバム「伝わりますか」の2カ月ほど前、1995年2月22日にリリースされた7th.SINGLE「伝わりますか/君の夢を」。
「ノンビリ」というくだり(もっと言えば「ありのままの自分」とも受け取れる)が先述のインタビュー記事の中にもあったのですが、ここにB面として収録されている「君の夢を」の歌詞には、
たまに嵐の日もある/
大丈夫いつか晴れる/
空にあくびプレゼント/
のんびり行こう
おいしい空気/
たくさん吸って/
自然に身をまかせ/
大きな声で… という一節があったのを思い出しました。
まさにこれがそれの現われのように感じます。
実は、晶子さんがインタビュー内容で語っていたことの具現化がここでなされていたのかも知れません。実は、セカンドアルバム「伝わりますか」のテーマは「恋から愛へ」なのですが、ファーストアルバムとはテーマも、曲調もまったく異なるものであり、そこでも大きな変化に当時は驚いたのですが、よくよく顧みてみると、こういう伏線があったのだな、などと思わされます。
そのアルバム「伝わりますか」には、ファーストアルバム「夢を眠らせない」で「夢を叶える」という目標を達成した晶子さんが、次は「心のゆとり」を得た現われなのか、そちらには「夢を叶えるというテーマのもと、常に背中を押してくれる」という楽曲の多い「夢を眠らせない」とは明らかに一線を画す、「人間らしく、豊かな感情で生きるのにはどういった要素が重要なのか」という視点で、「人間の琴線に触れる楽曲」が多く収録されています。
こちらも大変、魅力的なアルバムなので、またの機会にご紹介出来ればと思っています。
おつきあいくださりありがとうございました。
今日はこんなところです。