今月初旬、宮城・岩手両県のJR線、その未乗区間を乗り鉄した際の様子をお送りしています。

さて、今日は朝から仙台を出発、あちこちを乗り鉄して来まして、気付けば時刻は午後6時少し前になっていました。ここは「気仙沼駅(けせんぬまえき、宮城県気仙沼市)」です。


今日の乗り鉄のメインだった「BRT線」とはお別れして、この駅から「大船渡線(おおふなとせん)」で県南部の中心地「一ノ関駅」(いちのせきえき、岩手県一関市)へと向かいます。
夕方のいい時間帯なのですが、思ったより空いている印象でして、アテを手にイッパイやっている乗客も居たりして、旅のいい雰囲気です。

気仙沼駅を発車。ほどなく、深い森の中に列車は入って行きました。
すぐに再び県境を越え、宮城から岩手へと進んで行きます。

岩手県に入って最初の駅、「新月駅(にいつきえき、同一関市)」に到着。
ところで、終着の「一ノ関駅」へはまだここから1時間以上かかります。
なのにもうここは「一関市」(地名と駅名の表記が異なります)だとは、その市域の広大さに驚きです。

まだ、雨は止まないようです。徐々に薄暗くなって来る、このちょっと寂しさを感じるのも旅情のひとつのように感じます。

ところで、この「大船渡線」には「ドラゴンレール」という愛称が付けられていまして、いま乗車している列車にも、こういったステッカーが貼られていました。これはいったいどういうことかと言いますと…

先ほどの「新月駅」から一ノ関方面へと進んだところ、「千厩駅(せんまやえき、同)」から「陸中門崎駅(ちくちゅうかんざきえき、同)」あたりの線路を地図で見ますと、どうにも説明のつかない、四角形の三辺を不自然に迂回したような線形になっています。
毎度おなじみ「Wikipedia #大船渡線」から拾ってみますと…
…陸中門崎駅 - 千廐駅間の線形から「鍋弦線(なべづるせん)」と揶揄され、いわゆる「我田引鉄(がでんいんてつ)」の代表例である。
当初の計画では、門崎から真直ぐに千廐へ抜けることになっていたが、岩手県出身の原敬(はら・たかし、1856-1921。盛岡市出身の政治家。第19代内閣総理大臣などを歴任、「平民宰相」の名で親しまれる。大正10年11月、東京駅コンコースで暗殺された)率いる立憲政友会の後押しで千廐の北にある摺沢(すりさわ)から立候補した佐藤良平が1920年の総選挙で当選したことで、摺沢を経由して千厩を通らずに直接大船渡へ向かうように計画が変更された。
千厩では(立憲政友会と対峙する)憲政会に頼って誘致を展開し、1924年の総選挙で憲政会が勝利すると、摺沢から千厩へ抜けるように再び計画が変更され現在の線形となった。
いやはや、いま話題?の忖度とか口利きが普通にあった時代背景だったのですね。ひょっとすると、それどころでは済まないような強大な政治力が働いて、経路を曲げてしまったということでしょうか。びっくりします。
しかも、この話に絡んでいる原敬は、総理大臣にまでなった人物ですし…

本来の計画であれば、ここから真東に気仙沼へと進むはずだった「陸中門崎駅」を、列車は発車していました。
ということで、路線愛称の「ドラゴンレール」というのは、この区間を含め龍の身体のようにぐねぐねと曲がって路線が敷設されているさまから取られたものでした。うまく考えたものですね。

ここで「北上川(きたかみがわ)」を渡ります。静かな流れです。


細いレールの上を、2両編成のディーゼルカーは淡々と走って行きます。
午後6時半を過ぎた頃だったでしょうか、雨はすっかり止んだようです。

北上川からは少し南へ離れ、この路線の愛称のごとくくねくねと、終着駅の一ノ関へと進んで行きます。


東北新幹線のまばゆい駅舎が印象的な、一ノ関駅に到着したのは午後7時を回ったところでした。
下車客と入れ替わりに、下校途中の高校生がどっと乗り込んで行きました。
どこででも見かける、帰宅の光景になにかしらほっとさせられます。

さて、タイトルの「JR東日本 全線完乗」の未乗線区、今回の乗り鉄はここ一ノ関までです(この先の盛岡までは既乗の区間)。
「仙石東北ライン」にはじまり、気仙沼・大船渡線両線の「BRT(Bus Rail Transit、バス高速輸送システム)線」にも初めて乗車することが出来、大変意義のある日だったと感じます。また盛岡に着いてから回顧するのですが(笑)
ちなみに、その「気仙沼・大船渡線BRT線」は、通商産業省から「グッドデザイン賞」を受けているのだとのこと。それだけ、斬新で革新的な取り組みということなのでしょうね。

ここからは、東北本線でまだまだ北へと向かいます。今日の目的地は県庁所在地の「盛岡」です。


すっかり日も暮れ、駅名標にも光が灯る、旅情のある夜の風景になって来ました。




さて、ここから乗車するのは東北本線の「盛岡ゆき」です。
2両編成の電車が、すでに発車を待っていました。これに乗り込みます。

すっかり夜の装いの一ノ関を出発、一路、北へと向かいます。
次回に続きます。
今日はこんなところです。