みなさんこんにちは。今日の話題です。

10月上旬に先行発売された、人気の鉄道模型シリーズ「鉄道コレクション 京阪電車2600系A・Bセット」について取り上げるということをしています。

ここまで3回にわたって、主役であるこの「2600系」という形式について、実際に運行されている時の姿をあれこれと見て参りました。前置きが大変長くなってしまったのですが、今日は本題の模型について取り上げたいと思います。


まずは「Aセット」についてです。今回、発売されたセットはどちらも3両編成なのですが、こちらには「1次車」とタイトルがついています。
では、詳しく見て参りたいと思います。

これら形式はすべて「2600系」なのですが、車両の分類上、さらにこまかく車番が分けられていまして、便宜上それぞれは「○○形」と呼称することで区分されています。こちらは先頭車の「2600形」。

中間車の「2700形」。

妻面を観察しますと、配管類もリアルに再現されています。こまかい出来です。

そして、反対側先頭車の「2800形」。

先頭車同士の並び。正面向かって左側、車掌台側の窓が「二段式(左側)」、「固定式(右側)」と異なることがわかります。「2600系」における大きな分類の特徴です。

ところで、ここでまた「2600系」の実車の様子を見て頂くのですが、その特徴の一つとして挙げられるのが「妻面(つまめん、運転台がない方の端の部分)側の窓配置」です。
ちょっとわかりにくいのですが、こちらの車両の妻面側は「窓が2枚」。

こちらも「窓2枚」です。

ところが、こちらの車両は「1枚」になっています。

7両編成を組成し、普通列車で充当された姿。
先頭車は「2枚窓」ですが、編成中間に組み込まれた2両あとの運転台付き車両は「1枚窓」になっていることが確認出来ます。

「2600系」は、もともとは昭和34(1959)年から製造が開始された「2000系」という車両を昭和53(1978)年から改造(書類上は「新製」)し、登場したという経緯があります。
これは、ベースとなった「2000系」が現役当時の様子なのですが、妻面側の窓は「2枚」。

こちらの車両は「1枚窓」のタイプです。
さらに、その2両あとには「2枚窓」の車両が組み込まれています。
「2000系」は、最盛期には総勢100両を超える勢力を誇っていた形式だったのですが、「最初期に製造された1次車は妻面側の窓配置が1枚」というのが最たる特徴でした。のちに増備された「2次車からは妻面側の窓配置は2枚」と改められ、以降に製造された他形式(2200系、2400系)においてもその形態に統一されました。
そういうことで、「2000系」の車体を流用して製造された「2600系」でもその外観上の大きな特徴がそのまま引き継がれている、という訳です。

「1次車」(上)と「2次車」の先頭車両を並べたところ。
「妻面側の窓が1枚と2枚である」という差異がわかります。また、窓自体の大きさも、その窓配置の関係でかなり異なっている(1次車は、2次車のそれと比べてかなり幅が広い)ことも確認することが出来るのですが、モデルでもその特徴はしっかり再現されています。

続いては「2次車」を見て参ります。

「2600形」、こちらは「妻面側が2枚窓」のタイプです。

中間車の「2900形」。

先頭車両としても充当出来る仕様なのですが、中間車両として使用するという体で「正面扉が開放されている」という設定になっています。

そして「2800形」。反対側の先頭車両です。

ところで、この「2600系」の特徴についてさらに述べるのですが、「短い車両の単位で編成を組んでいた」ということが挙げられます。
これは7両編成を組成しているものですが、先頭から見ますと…
運転台付き車両+中間車両(青い矢印)+運転台付き車両+中間車両+運転台付き車両(赤い矢印)+運転台付き車両+運転台付き車両
という感じで、この編成の場合は「一編成の中に運転台の付いた車両が5両も連結されている」という状況でした(後年には、先ほどの「2900形」のように、中間に組み込まれた運転台付き車両のうち、乗務員室の区切りはそのままで運転機器だけが撤去されたという編成もあり)。

現在、京阪では「車両の増結・切り離し」をしないので、運転台が付いている車両は編成の両端にしか設けられていません。
唯一の例外がこの形式で、「2両」や「3両」といった短い編成ユニットを組み合わせることで、これまでに「4・5・6・7・8両編成」を組んだ実績があります。

朝ラッシュ時の運用を終え、車庫へ戻る。中書島にて。

新塗装となり、「京阪百貨店開業30周年」(右側)と、その記念として開催された「八代亜紀 絵画展」(左側)の「2枚看板」を掲げた「2600系」。守口市にて。
一時は130両という京阪最大の車両数を誇ったこの「2600系」ですが、製造時に徹底的な改造が施されたとはいうものの、昭和30年代に製造された「2000系」をベースにしているということで、老朽化などの理由で廃車が進み、現在では50両弱を数えるほどになってしまいました。

古き良き昭和の面影を残すこの車両を見られるのも、いましばらくのようです。
今回発売されたこの模型は、ベースとなった「2000系」からのさまざまな、ある種、異色ともいえる車歴、もっと言えば「昭和30年代からの京阪電車の歴史」を振り返るにふさわしいものであるように感じた次第です。
4回にわたり、おつきあいくださりありがとうございました。
今日はこんなところです。