みなさんこんにちは。前回からの続きです。
「拝島駅(はいじまえき、東京都昭島市)」探索をしています。

JR駅の反対側、西武鉄道が乗り入れている北口にやって来ました。

真夏を思わせる陽射しの中、ロータリーに出ますと、このアメリカンな看板を発見しました。
この「拝島駅」の所在地は「昭島市(あきしまし)」なのですが、この北口周辺は「福生市(ふっさし)」にかかっているので、この看板があるという訳です。ただし、福生市の中心部は拝島駅の隣、「福生駅」に広がっています。
縁起の良い地名だと感じるのですが…
「福生」については、
「各駅停車全国歴史散歩12 東京都 下巻」
(伊佐九三四郎・檀上完爾共著 河出書房新社編 昭和57年12月初版 絶版)
から拾ってみます。
縁起のいい地名 福生(ふっさ)
縁起駅名に人気集中
「福が生まれる」ということで、福生駅の入場券が人気を集めて以来、福生の名前が広く知られるようになった。一○年前のブームの頃には、一日に一四九三枚発売の記録があるそうだが、いまでも平均二○枚は売れているという。特に大安吉日には、一人で三、四○枚買って行く人があるそうだ。これに気をよくした国鉄が、五六年正月に「福生―金子(八高線)」の縁起切符を発売したところ、元日から一五日まで四万三○○○枚が売れた。(後略)
中世に「福生郷」の文字が
ところで福生という地名が起こったのは中世のころかららしく、正長二年(一四二九)には、神社建立の棟札に「福生郷(ふっさきょう)」という文字が記されてあったという。地名の由来はつまびらかではないが、次の三説がある。
①総生(フソウ)起源説=総は麻のことで、総生は麻がひろびろとした原野で栽培されている意。
②地形・地質起源説=「阜沙(ふさ)」ということで、陸丘とかの意。
③アイヌ語起源説=フッチャ(湖口)、ブッセ(湧水)、フッサ(水で清めるみぞぎの意)で、いずれも水に関係している言葉(市広報誌「ふっさ」から)。
昭和四五年七月一日に、人口三万八七四九人で市制を施行した福生市も、一二年後の五七年には四万九二○八人と増加し、文字通り、続々と「福が生まれている」。
(出典同 P53)
ところで、駅前の看板が「何でアメリカナイズ?」と思ったのですが…

くだんのロータリーを少し進んだところに、その「答え」がありました。
「横田1号(よこたいちごう)踏切」の記載。

遮断機のかたわらには、英文の混じった警告板。

少々、「ものものしい感」を受けます。

地図で確認してみます。
「黒い○」が「横田1号踏切」ですが、ここを通る線路は「拝島駅」から大きく外れて、
上へ、北方向へと延びていることがわかります。この線路は…

「米軍横田基地」へとつながっています。
しかし、住宅街の中にも関わらず、広大な敷地であることがわかります。
「横田基地」についても
「各駅停車全国歴史散歩12 東京都 下巻」
(伊佐九三四郎・檀上完爾共著 河出書房新社編 昭和57年12月初版 絶版)
から拾ってみます。
基地の街の面影が色濃く
福生は”基地の街”でもある。市の面積の約三分の一が米軍横田基地に占められている。土、日曜日には米軍人やその家族が市街でも多く見られ、はじめて訪れる人には、そんな異国風景が奇異に移る。昭和二○年九月の占領軍の進駐接収から、二五年の朝鮮動乱勃発にかけてのころがもっとも多かった時代で、占領軍の兵士相手のバー、キャバレー、スーベニアショップが目抜き通りに林立し、基地の街として大きくふくらんだ。いまも福生駅東口から東福生駅に通ずる繁華街の街筋には、その面影が色濃く残っている。看板やネオンは横文字から日本文字に変わっているが、どことなくバタくさい歓楽街の色彩は容易に消えそうにない。
(後略)
(出典同 P52-53)

「横田1号踏切」から、その「横田基地方向」を望みます。
架線がなく、枕木もその名称どおり「木造」なので、近隣の路線とは「大きく異なる感」を受けます。

そこから反対側を望みます。
こちらは「拝島駅構外」へと向かう線路です。この先、左へカーブしたところでJR線路とつながっており、定期的に貨物列車が運行されていて、タンク車により、米軍ジェット機用の燃料を搬入しているそうです。

そのような事情を垣間見て、一瞬、現実が遠のき、じりじりと照り付ける夏のような陽射しを受け、また現実に戻される気がした「拝島駅」でした。

コンコース階に戻って来ました。
日陰に入って、ほっとします。

さて、今回の「JR東日本 全線完乗の旅」はここで終了。
次の機会を楽しみにしたいと思います。
ただ、旅はまだまだ続きます。

ホームから西武鉄道ホームを望む。
黄色い電車が発車して行くところでした。
個人的にはやはり「西武鉄道」というとこの「黄色」のイメージが大きいですね。


ではここからは「青梅線(おうめせん)」に乗車します。
「立川駅(たちかわえき、東京都立川市)」から「中央線(ちゅうおうせん)」に乗り入れる「青梅特快」という列車で、一気に東京都心へと向かいます。
次回に続きます。
今日はこんなところです。