サングラスを庭仕事にも | 無精庵徒然草

無精庵徒然草

無聊をかこつ生活に憧れてるので、タイトルが無聊庵にしたい…けど、当面は従前通り「無精庵徒然草」とします。なんでも日記サイトです。08年、富山に帰郷。富山情報が増える…はず。

 ← 長谷川 浩一著『線虫 1ミリの生命ドラマ』(dZERO)「すべての道は「線虫」に通ず。3億年以上にわたって繰り広げられてきた驚くべき精緻な「生と死」の営み!」カバー写真は、線虫「チュウブダイガク」。中部大学長谷川研究室が発見した新種。

 

 暑い日々が続いている。富山にしても連日の35℃。連休だった二日間は、午後の四時半過ぎから庭や畑仕事に汗を流した。

 汗を流したは文字通りで、鍔付きの帽子、帽子の下にミニタオル、首にもタオル、上下は職人さんが切るような厚手の生地の上下。喉元のボタンも手首のボタンもしっかり。足元は靴下を履くのは当然として長靴を履く。手には厚手のグローブ。マスクは常用。

 過日、サングラスを買った。これは、自転車で買い物に行く際、紫外線から目を少しでも守るため。

 だけど、これを外仕事の際にも使うことにした。庭仕事していると、何かの植物を切った際、樹液のようなものが飛んでくることがある。それが目に入ることも。すると、二三日は何かの眼病に罹らないかと気が気でない。

 一度、花粉症用のゴーグルを使ったことがある。が、あっという間に湿気で曇ってしまって作業にならない。

 そこでこのサングラス。無論、度は入ってない。高い枝葉の剪定しても、飛び散る木屑や細かな葉っぱ、ホコリを気にせず目をしっかり開けて作業し続けることができる。しかも、午後四時過ぎといっても晴れた日にしか作業しないので、紫外線も浴びているはず。サングラスがどの程度、効果があるか分からないが、気休めにはなる。

 まあ、知らない人が見たらこの真夏に不気味な野郎である。

 

 さて、連休の二日も畑や庭仕事で精根尽きる。読書三昧もバイクでのミニツーリングも侭ならない。

 一昨日からは、トニ・モリスンの『タール・ベイビー 』(ハヤカワepi文庫)を、昨夜からはセブ・フォークの大著『アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実』を読み始めたのだが、疲れからか寝落ちの連続。悲しい現実である。

 

 長谷川 浩一著の『線虫 1ミリの生命ドラマ』を26日(水)に読了。 線虫なんてニョロニョロして気色悪くて好きじゃない。ただ、ひたすら好奇心で手にした本。関連する(かどうか微妙だが)本として、トゥオマス・アイヴェロ著の『寄生生物の果てしなき進化』を昨年だったか読んだことがある。

関連拙稿(?):「脊椎動物の祖先はナメクジウオ!

 本書の帯には、「すべての道は「線虫」に通ず。3億年以上にわたって繰り広げられてきた驚くべき精緻な「生と死」の営み!」とある。

 本書の凡その内容は、「線虫は、ほかの生物が生存不可能な極限環境でも生き、ほかの生物に寄生するものもいれば、自活するものもいる。生殖のあり方も多様で、雌雄同体も。昆虫以上に種類も数も多い。人類の健康問題を解決するためのヒントや、人類が自然と共存していくためのヒントを線虫から得ることもできる」に尽きている。

 最も身近(?)で馴染みの線虫は、アニサキスかな。「回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称。非淡水魚・回遊魚など海洋生物に寄生する寄生虫であり、2021年の日本における食中毒のほぼ半数を占め、アニサキス症の原因寄生虫として知られる」(Wikipedia参照)もの。

 エレガンスなる線虫は嗅覚に優れ、微量の尿でガンに反応し、ガンリスクを検知できる。

 イネなどの穀物の病気は種々あるが、線虫が絡む厄介な病気もある。その正体は、「イネ心枯線虫病(イネシンガレセンチュウ)」。「病害虫診断のポイントと防除対策 No.2 イネ心枯線虫病(イネシンガレセンチュウ)」によると、「本線虫は細長く、体長は 0.5~0.9mm、体幅は0.015mm 前後で、肉眼では確認でき」ないとか。「寄主植物は、イネのほかアワ、キビ、ヒエ、イチゴや雑草のノビエ、エノコログサ、メヒシバ、カヤツリグサ等が知られてい」るという。線虫の外来種問題もあったり、とにかく厄介な線虫。

 その他、昆虫を襲う線虫(ふと、冬虫夏草を連想した)や、マツを襲う線虫など、地球上のあらゆる環境に適応する生物なのだ。だからだろうか線虫は、「現存する動物の中でも、種数およびバイオマスがほかの生物を圧倒して」いる。

 本書の最終章は、「線虫は感じている」である。神経細胞の数は少ないながら、匂いを区別する能力は犬に勝るし、学習し記憶する能力もある(老化と共に能力は低下する。パーキンソン病の研究に生かされる可能性がある)。食べ物も好き嫌いがある。

 線虫の研究でノーベル賞に繋がったものも幾つある。線虫の研究は我々の知らないことを教えてくれる期待が大ということだ。

 一方、近年、動物愛護の機運が高まっており、研究現場への影響もある。今は線虫は実験動物の扱いで留意すべき対象になっていないが、線虫の神経の鋭敏さ優れた能力からして、いずれガイドラインに従った実験動物の取り扱い規定に従うべきとなるかもしれない。

 吾輩に言わせると、動物だけに限るのは極めて不徹底。感覚の鋭敏さを云うなら、動かない植物こそ余程、動けないがゆえにシビアな神経を有しているわけで、我々は物言わない植物の沈黙に甘え、精進料理だの肉食をしないとか、ベジタリアンだとか謳っているが、生き物…感覚機能を持つ生き物に他ならないはず。生け花に美を求める趣味は大嫌いである。…その実、日々雑草毟りやら枝葉剪定に汲々としている自分がいる。矛盾の塊のような吾輩。