連鶴は小さな事を気にしない | kuwanakenのブログ

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プラス思考は、好きじゃない。
前を向いたり、しゃがんだり、
振り返ったり、無理をせず、
幸せレンガを、積んでいこう。

 連鶴は越前和紙を使います。和紙をいくつかの四角に切り分ける時、少しだけ繋ぎ目を残します。その繋ぎ目でたくさんの鶴が繋がることになるのです。ほんのわずか残すだけなので、普通の紙ではすぐに千切れてしまいます。

 

 桑名の千羽鶴和紙取扱所の郷司さんによると「薄くて丈夫な越前和紙を特別注文する」とのことです。難しい折り方になると、鶴の四方が繋がります。四方から引っ張られながら折るので、和紙の強さに頼るわけです。

 

 郷司さんのところで、縦90センチ横60センチの和紙を買い求めます。その大きな紙を、物差しと差金を使って切り分けます。難しい「迦陵頻」や「百鶴」などは30センチ四方、その他は15センチ四方の紙で折ることが多いです。

 

 素人仕事ですから、正確な四角に切り分ける事は難しいです。折り紙の基本は、きれいに角を合わせて折ること。ところが、少し歪なところもあって、角がきれいに合いません。その場所に合わせて、文字通りその場しのぎをします。

 

 ブルース・リーさんが「Be water,my friend.」と言いました。「心を空に、形をなくせ・・カップに入れればカップの形に、ボトルに入れればボトルの形に」という意味です。そして、「自在に動き、破壊する」とも。

 

 若い頃友人M君から「君は方円の器に従う水のようだ」と言われました。信念がないと批判したのかもしれません。でも、僕は褒められたと思いました。宮本武蔵さんも「五輪書 地の巻六」で同じことを書いているのでなおさらです。

 

 連鶴を考案した魯縞庵義道さんは「少しも紙の切りくず出ず」としました。余った紙を折り畳んで無理やり四角を作ります。二重三重どころか、十重二十重。しかも、一枚の紙で折るのですから、しょせん無理に無理を重ねるわけです。

 

 その無理を承知で、その場しのぎを繰り返して、連鶴を完成させるのです。寸分の狂いもなく製図したところで、どっちみち無理な折り方を迫られるのです。ちょっとくらい鶴が歪んだとて、小さなことは気にしない。水になれ、友よ。