五十年越しの懺悔、しこりは溶けたでしょうか | kuwanakenのブログ

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プラス思考は、好きじゃない。
前を向いたり、しゃがんだり、
振り返ったり、無理をせず、
幸せレンガを、積んでいこう。

 卒業してから55年、中学校同窓会に集まったのは同期の100人余。思い出話は山のようにあるはずが、残念ながら思い出せないことの方が多い。SNSで情報を交わすピアニストのH君などは、しょっちゅう会ってるような気分がしますが。

 

 地元に残っている人同士ならいざ知らず。僕は故郷を離れてから、はや50年。10年に一度の同窓会でしか会えない友ばかりです。宴もたけなわとなれば、覚えのある顔を探しては記憶を絞り出して話を紡ぎます。

 

 女性は覚えています。ぶりっ子のAちゃんは、あいもかわらず可愛らしい格好をして、遠くからでも一眼で分かります。当時の田舎の中学生男子は坊主頭が普通でした。ロマンスグレーの紳士に声を掛けられても思い出せません。

 

 僕はスキンヘッドなので、印象が変わっていないようです。相手は覚えている。こちらは思い出せない。笑顔で「あれ、ケンちゃんじゃない」と話し掛けられては、名札をチラリ。顔は思い出せなくても、名前には記憶が蘇ってきます。

 

 何とか思い出して「やあ、K君元気?」と返すと、K君は「あの時は本当に悪いことをした」と深刻な面持ち。「何のことかな」「みんなで騒いでいてW先生に捕まっただろ。あの時、俺たちは逃げて、ケンちゃんだけ捕まった。ごめんな」

 

 一緒に悪さをしていたのに、僕だけ捕まってビンタをされた。K君は自分が逃げたことを悔やんでいるというのです。2年生の時の事件を、まざまざと思い出しました。事実はK君の記憶とちょっと違います。一度は一緒に逃げたのです。

 

 でも、その直後に意地を張って、また一人だけ騒いでいたのです。激怒したW先生に3発ビンタをされて、隣の教室へ連れて行かれました。そこで、散々説教をされて「これから気を付けます」と反省したら「これからじゃ遅いんだよ」と、さらに1発ビンタ。

 

 K君に「だから、もう一度一人で騒いだ僕が悪いんだよ」と話すと、「ごめんな。逃げたことをずっと後悔してた」と打ち明けるのです。「だから、謝ることないよ。誤解だよ」「ありがとう」五十年越しのしこりは溶けたでしょうか。