後楽園の曲水で歌を詠む | kuwanakenのブログ

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プラス思考は、好きじゃない。
前を向いたり、しゃがんだり、
振り返ったり、無理をせず、
幸せレンガを、積んでいこう。

 岡山倉敷の旅は後楽園で始まります。岡山駅からさほど離れていません。歩いても行けそうですが、路面電車があります。美しい妻も僕も路面電車が大好きです。長崎や広島を訪れたときも、ガタゴト走る電車は魅力的でした。

 

 岡山駅から後楽園までは8分おきに出ています。とても便利で、これに乗らない手はありません。道路の真ん中にある乗り場に着くと、もうすぐそばまで電車が来ています。乗り込むと入り口にはICカードの読み取り機。ピピっでOK。

 

 電車は結構混んでいました。最寄駅の城下ではほとんどのお客さんが降ります。さすが日本三大庭園、と思いきや、後楽園に入るとだだっ広い日本庭園に人影はまばら。東京ドーム三個分の後楽園。広すぎる訳でもなかろうに。

 

 庭園の中には曲がりくねった小川が流れる、曲水があります。途中、流店(りゅうてん)と呼ばれる大きな東屋のような建物の真ん中を川が通っています。お殿様が足湯のように足をつけていたのかも。優雅な涼み方です。

 

 後楽園は岡山を流れる旭川の、河口近くの中州に造られました。曲水を造るには旭川の水を引き入れるのが簡単です。でも、洪水が怖いし、満潮時には潮が上がってきます。鯉は塩水には強いようですが、庭木にしてみればたまったもんじゃない。

 

 曲水を設計した津田永忠さんの苦労はいかばかりか。津田さんの解決策は、用水路をそのまま引き込むのではなく水管でつなぐことでした。しかも、その水管を川底に埋めたというから驚きです。高低差をサイフォンのようにした優れものです。

 

 平安時代の遊びに曲水宴があります。盃を乗せた盆を川に浮かべ、それが流れてくる間に短歌を詠まなければいけません。「曲水の 浮かぶ盃 近づけど 一首浮かばず 見送るばかり」そんな鈍くさい貴族の身になって詠んでみました。

 

 大河ドラマ「光る君へ」では、紫式部が代筆屋をやっています。恋文に添える短歌を、本人の代わりに詠む仕事です。代筆ではなく、代詠と呼ぶ方がふさわしいでしょう。平安貴族が誰でも短歌を詠めるわけではなかったようです。