孫娘がどこへ行きたいか尋ねると「温泉!」が一番手に上がります。本人の希望は温泉旅館で泊まることですが、大概は日帰り温泉でお茶を濁します。阿下喜温泉が定番でしたが、今回から「南濃水晶の湯」が加わりました。
他にも必ず候補に上がるのが千代保稲荷、通称おちょぼさんです。どんな魅力かと問われれば、やはり参道に屋台が並ぶ縁日風景でしょう。縁日といえば日にちが決まっているものです。おちょぼさんは毎月末の月並み祭です。
友だちの酒屋のおじいさんは、「月末には仕事を済ませてからおちょぼさんへお参りに行く」と話していました。商売繁盛で有名な神社ですから、そんな人で夜遅くまで賑わっていたそうです。夜通し開いている屋台もあったと聞きます。
名古屋の大須で蕎麦屋の修行をしていた時は、毎月28日を「みょうおんさんの日」と呼んで、いつもよりもたくさん仕込みをしていた覚えがあります。不動明王の縁日のことです。その日は遅くまで多くの参拝客で賑わうのです。
縁日はその名の通り、仏様や神様と縁の深まる特別な日です。その日にお参りすると百日分とか千日分のご利益があるといわれます。浅草の浅草寺の縁日は四万六千日分のご利益というから、イオンのポイント倍デーも真っ青です。
おちょぼさんは縁日に限らず屋台が出ています。参拝客が引も切らず押しかけるからに違いありません。怪しげな托鉢僧が屋台の脇に佇んだり、ロリコン衣装のおじいさんが愛想を振り撒いたり。雑然とした賑わいは言うに言われぬ魅力があります。
孫娘が金平糖詰め放題の屋台に惹かれました。見るからに鮮やかな金平糖やグミなどが並んでいます。詰め放題という触れ込みですが、渡されたカップの小さいこと。孫娘は好物のグミも入れますが、グミはかさばる。
おじいちゃんとしては、「グミはやめておけ。原価の高い金平糖だけにしなさい。コスパを考えて」と忠告したいところです。でも、「おじいちゃんうるさい!」と一蹴されそうなので、ぐっと堪えてお金だけ渡します。