先日、小学一年生の生徒さんのお母さんからLINEをいただきました。
息子さんが、お家の中で流れているクラシック音楽に興味を持ち始め、“威風堂々"や、学校で聴いた“くるみ割り人形" を聴きたいと言うので、この機会に、生の演奏を聴かせてあげたい、つきましては、お勧めの子どもでも楽しめるコンサートはないでしょうか?
という嬉しい内容でした。
生演奏を聴く経験は、とても貴重だと思います。
"子ども向け" “未就学児歓迎" と言う風に書かれているコンサートでしたら、気軽に楽しめると思います。
そして、演奏中お行儀よく静かに聴けるようになったら、本格的な演奏会にも行けるようになります。
ただ、無理してコンサートに出かけなくても構いません。
ご家庭で、たくさんCDを流すだけでも良いのです。
クラシック音楽だからといってかしこまって聴く必要はありません。
遊びながら、おやつやご飯を食べながら、車に乗っている時、ふと耳に入ってくる素敵な音楽に聴き入る。
それが、音楽が一生の友となる、大きな一歩なのです。
私の子どもの頃、童謡を聴いて母と歌ったり、レコードを聴いたり、テレビから流れてくる旋律に心奪われたり。
学校で聴いた曲が忘れられず、レコード屋さんに走ったり。
それらが積み重なり、今の自分があるのだと思います。
更に時代を遡ると、私の母の子ども時代、祖母と叔母と母の三人で、縁側で歌って踊って過ごした日々がありました。(私の知る淑やかで大人しかった祖母は、娘時代テニスやモダンダンスを習うモガでした)
そして、母が小学生の時、歌のオーディションに合格してラジオで歌ったという一大事も。
司会者から、
「休みの日にはどんなことしてますか?」と聞かれて、蚊の鳴くような声で、
「デパートに行きます」と答えたとやら。
その後、母に続いて叔母がラジオに出た時には、歌う直前に咳払いをしたせいで、最初から最後までしゃがれた声で歌い切ってしまったこと。
ラジオに齧り付いてそれを聴いていた家族が大爆笑したこと。
そんな思い出話をした後には、使い込まれて古びた唱歌集が登場し、母と叔母の二重唱が始まるのでした。
80歳になり、病気や骨折で一人暮らしが難しくなった母ですが、驚くことに、子どもの頃縁側で歌って踊った創作オペラ(?)の登場人物の名前まではっきりと憶えているそうです。
家にピアノもバイオリンもなかったけれども、家族と共に楽しんだ音楽。
それが今も鮮明に母の胸の中で生き続けているのです。
YouTubeはもちろんのこと、CDもまだなかった時代、それでも私たちは、音楽に憧れ、音楽を求め続けて来ました。
生徒さん一人一人の胸にも、音楽の灯火がともりますよう願っています。
こんな面白いクリアファイルをいただきました。
日本の歴史と世界の音楽の歴史を重ねてみると、興味深いですね。