木漏れ日の海

木漏れ日の海

フィギュアスケートの羽生選手を応援しています。
プログラムの感想を中心に語ります。

嬉しいニュースが入ってきた。

 

デザインなどの国際コンテスト「Graphis Design Awards2025」で写真集「y」が銀賞を受賞したという。

 

写真集「y」の、そして羽生君のスケートの美しさが、デザイン、グラフィックという分野においても国際的に認められたのだと嬉しくなった。

 

改めて「y」の表紙を見て、その美しさに感じ入る。

 

小海途さんの写真、小島さんのデザイン、サンエムカラーさんの印刷が、羽生君のスケートの美しさを写真集という形で紡ぎだす。

 

写真、デザイン、印刷が一体となって、プロの本気が集結して、素晴らしい写真集が出来上がった。

 

そして、その芯にあるのがやはり、羽生君のスケートの美しさ。

 

「RE_PRAY」横浜公演で見た羽生君のスケートの、ものすごい美しさを思い出す。

 

おそらく、どの一瞬を切り取っても美しい。

そういうスケートが、目の前でリアルタイムで展開された。

 

滑らかに伸びるスケーティング。

品格を感じるポージング。

プログラム世界に入り込んだ集中力。

 

その「美」は、後にも先にも「羽生結弦のスケート」でしかこの世に現れない。

そういう種類の美しさだと思った。

 

生で見ても、映像で見ても、写真で見ても、それぞれの良さがあるのが、羽生君のスケート。

 

心技体に、魂に時間。

多くのものを注ぎ込んで磨き上げたそのスケートは、本当に美しい。

「能登半島復興支援チャリティー演技会」が9月15日に開催される。

 

羽生君と一緒に出演するのは、鈴木さん、宮原さん、無良君。

 

いつも「notte stellata」に出ている3人のスケーター。

今回も一緒に出演してくれて、心強いな、ありがたいな、と思う。

 

会場は石川県だという。

石川県で滑ることについて、羽生君のコメントが来ている。

 

「僕自身は、現地で滑ることに意味をすごく感じています。その土地だからこそできる思いだったりとか、演技だったりとかもきっと存在すると思うので、本当にいろんな思いを込めながら滑りたいと思います」

 

羽生君のスケートは、同じプログラムでも一期一会だけど、それには、そのプログラムが滑られる土地が関係しているのではないかと思う。

 

古来の日本人がしてきたように、その土地への挨拶、敬意のようなものが、羽生君のスケートには含まれているような気がしていて。

 

その土地に捧げる滑り。

そんな要素を感じる。

 

今回、能登の地で滑るというのは、羽生君の言う通り、大きな意味があるのだろう。

 

能登で滑ることによって、その地やそこに住む人たちへの祈りが、直接届けられる。

 

叶うことなら、できるだけたくさんの能登の人たちに見ていただきたいと思う。

プロ2周年、おめでとうございます。

 

この2年を振り返ってみると、改めて、とんでもない2年間だったと思う。

 

とにかく想像を絶する展開だったのは、単独公演。

 

1日に1人で滑れるプログラムの数は3つか4つが限界ではないかと勝手に思っていたので、まさか10以上ものプログラムが滑られる単独公演を見ることができるなんて、想像のはるか上だった。

 

しかも、「RE_PRAY」では、その単独公演を8回も見せてもらえた。

その中で新プロはどんどん進化していって、公演自体も進化を続けた。

 

振り返ると、プロ2年目も夢のような時間だった。

 

そして、羽生君がプロになってからすさまじく加速したのが、新プロの数。

 

プロになってからの2年間で多くの新プロが生まれた。

 

いつか終わる夢

夢見る憧憬

サザンカ

僕のこと

あの夏へ

阿修羅ちゃん

conquest of paradise

if...

GLAMOROUS SKY

鶏と蛇と豚

MEGALOVANIA

破滅への使者

地上を救う者~エストポリス伝記Ⅱメドレー~

Goliath

アクアの旅路

Carmina Burana

Danny Boy

ミーティア

 

挙げてみると、18もの新プロがこの2年間で生まれている。

 

数もさることながら、すごいのは1つ1つのプログラムの質と、多彩さ。

たった2年間で、こんなにも素晴らしいプログラムを、こんなにもたくさん見させてもらえたなんて、と改めて感激する。

 

プロになって解き放たれた創造性。

その豊かさに、ただただ圧倒される。

 

新プロといえば、競技時代からファンの皆さんが「羽生君に滑ってほしい曲」というのをSNSで挙げていて、いつも楽しく拝見している。

 

それに便乗して、ここで、個人的に推す曲を挙げてみたい。

 

1曲目は、パブロ・カザルス演奏の「鳥の歌」。

チェロの演奏なのだけど、こういう曲で羽生君が滑ったらどういうプログラムになるのだろうと夢想する。

 

2曲目は、「コンドルは飛んでいく」。

ペルーの民謡をもとにした曲で、かなりおなじみの旋律。

どこか懐かしさを感じる曲。

 

(脱線してしまったので、話を戻します)

 

もう羽生君のプロ3年目が始まっている。

 

そして、今も新しいものを絶賛制作中だという。

その言葉を聞けたのが、とても嬉しかった。

 

プロ3年目という新たなステージ。

 

今までのプログラムも、新しいプログラムも、見せてくれる1回1回が宝物。

今までもこれからも、その素晴らしいスケートに感謝して。

「 OFFICIAL PLAYER’S GUIDE」の感想を再び、書いてみたい。

今回は、「RE_PRAY」の制作過程について。

 

「RE_PRAY」という、過去に前例のないICE STORYが、いったいどうやって作られたのか。

 

「OFFICIAL PLAYER’S GUIDE」では、かなり核心の部分まで披露してくれた。

 

まずはコンセプトとプロットを、羽生君が全て書いた。

それは、この独特の世界観からするに、そうだろうなと思っていたけど、驚いたのは、制作スタッフへの伝え方の部分だった。

 

プロットにはストーリーやナレーション部分のほかに、映像シーンやプログラムシーンが持つ意味やストーリーの流れなどについても書き込まれていたという。

 

羽生君は制作スタッフに、ナレーション部分だけでなく、シーンについての記述部分も全て自分の声で吹き込んだものを渡したという。

 

通常は、書いたもののみを渡すものだと思う。

まさか、プロット全体を自分で吹き込んだものを渡すとは。

この発想に驚いた。

 

でも、確かに、文字だけよりも、肉声というのは何倍もの情報量を込めることができる。

 

どういうニュアンスなのか、どういう感情なのかを、声色や声の強弱によって伝えることができる。

それだけでなく、緊迫感、テンポ、リズム、揺らぎなども。

 

プロットを吹き込んで渡すというのは、目からウロコの発想だけど、「伝える」という目的に、すごくかなっている。

 

最初に目的、ゴールがあって、そのためにどういうアプローチがよいのか。

普通は既成のやり方を踏襲してしまうけど、羽生君は既成の概念を軽々と超えて発想することができる。

 

ものをつくるとき、なかなか新しいやり方というのは、思いつかない。

どうしても、過去に見聞きしたものや、それまでのやり方を踏襲することになってしまう。

 

だけど、羽生君は、そういうものを飛び越えて発想することができる。

これこそが、真のクリエーターの資質なのだろう。

 

そして、次に驚いたのがVコン(ビデオコンテ)を羽生君自身が作ったということ。

これは、そもそも、自分の中にかなり明確な映像が浮かんでいないと、作ることができない。

 

「なんとなく、こういうイメージ」というのを言葉で伝えてプロに作ってもらう、というのが普通だと思う。

 

ところが、羽生君自身がVコンを作ったという。

最初から明確な画が羽生君のなかであったということだし、それを伝えたいという、制作者としての執念を感じた。

 

今まで、羽生君のスケートは、なんて情報量が多いのだろう、なんて多彩な思い、感情、情景が込められているのだろうと感嘆していた。

 

今回 「OFFICIAL PLAYER’S GUIDE」を読んで、なるほど、これだけのイメージを持っている人だからなのか、と思った。

もちろん、「RE_PRAY」と「OFFICIAL PLAYER’S GUIDE」は、その一端を垣間見せたにすぎない。

 

羽生君が滑るプログラム1つ1つに込められているものは、言葉で開示されるものではない。

 

だけど、これだけの制作力、イメージ、表現への執念、さらに言えば、それらを引き出すための方法論、プロデュース力、客観性。

そいうものをもとから持っているから、あれだけのプログラム世界を作り出せるのだということが、垣間見えた。

 

羽生君は、極上のスケートをするために必要なもののうち、本当に多くのものを持っているなと改めて思う。

 

①情熱

②集中力

③身体能力

④技術

⑤音楽や美への感性

⑥伝えたい内容

⑦客観視

⑧プロデュース力

⑨貪欲さ

⑩固定観念から外れることをいとわない勇気と自由な発想

 

他にも挙げればキリがないのだろうけど。

 

MIKIKO先生をして「末恐ろしや」と言わしめた、そのポテンシャルは計り知れない。

これからも、羽生君が生み出すICE STORYやプログラムたちを見れらるのは、本当に僥倖。

 

「 OFFICIAL PLAYER’S GUIDE」を読んで、つくづく、そう思った。

「RE_PRAY」宮城初日を再び見た。

 

今までに7回分の「RE_PRAY」が放送されたけど、この宮城初日は、そのどれとも違う印象だった。

 

もちろん、他の7回も、それぞれが違う。

それが羽生君のスケートの稀有なところだけど。

 

この宮城初日は、やはり、宮城という場所だったのが大きかった気がする。

 

この場所でしか現れない姿をしていたような。

この地で滑られることが約束されていたかのようなスケートだった。

 

冒頭の「いつか終わる夢-original-」から「あの夏へ」まで、ある種、緊迫したスケートが続く。

その集中。「RE_PRAY」という世界への入り込み。

 

そして最後に「春よ、来い」に、まさに「たどり着いた」かのような滑り。

その瞬間、過去も現在も未来も、その一点にあるかのような。

全てを包み込むような。

そんなスケートに思えた。

 

「RE_PRAY」1公演1公演に、まさに魂が注ぎ込まれている。

そんなことを改めて感じた。