キシリアは確実な戦法でズム・シティを制圧しようと決意した。
「強行突破をかける。第一のプランで行く」
言い捨てるや足早にブリッジを下りて、格納庫へ向かう。
赤いリック・ドムのハッチはキシリアを待っていた。仮設された
補助シートはかなり危険であるが、やむを得なかった。ギレンを
討つのなら自らの手で打ちたいという衝動はいかんともし難かっ
たのだ。シャアの左後ろに座る形をとる。
補助シートはかなり危険であるが、やむを得なかった。ギレンを
討つのなら自らの手で打ちたいという衝動はいかんともし難かっ
たのだ。シャアの左後ろに座る形をとる。
「よろしいのですか?」
シャアは最後の確認をキシリアにする。キシリアは首に下ろして
いた襟をあげて口元を隠した。
「よい。心配は要らぬ」
ルロイ以下のモビルスーツは上甲板に位置して、シャアのドムの
発進を待っていた。彼の発進を合図にすべての行動が開始される
のである。格納庫のハッチが開かれるや、シャアはゆったりとリ
ック・ドムの機体を宇宙に滑り込ませた。
モビルスーツ隊が隔壁を除去する作業の間にも、ズワメルとペガ
サスは港ブロックに進入し、残る艦艇が港口を固めた。
この異変を目撃したズム・シティ周辺の艦隊は、この反乱の意味
を理解するのにやや時間を要した。なぜならば、
「我が方はキシリア麾下の戦闘大隊である。これは反乱ではない。
正規の軍事行動である。抵抗するものは容赦しない。我が方はキ
シリア貴下の…」
★ ★ ★
唐突に、ギレンに連絡が入った。
「総帥…!ズム港にズワメルの直接攻撃がなされました!反乱で
あります」
統合本部の幕僚たちのひきつった顔がモニターの奥に右往左往す
る。
「情報を送り続けろ!」
「第四隔壁が開かれました。モビルスーツ隊潜入の模様でありま
す。何機だ!モビルスーツは!」
ギレンは執務室を出ると正面出口に向かった。
“私の決断は間違っていなかった。だから、キシリアを討とうと
決したのである”
大型エレカがギレンを待っていた。
「統合本部だ!防衛隊は出たのか!」
「出動命令は発令されました」
前席の助手席の士官が小型モニターから目を離して応答する。
「モビルスーツは何機か!」
「7機か8機。ズワメルはコロニー内に侵入中であります。木馬
も随伴しているようであります」
「木馬?…ニュータイプ部隊というのか?」
「なんだと!赤い彗星!」
助手席の士官がモニターに怒鳴りつけた。
「!」
ギレンはすべてを悟った。シャア、キシリア、連邦のニュータイ
プたち。これが意味するものはただ一つだった。ジオン、連邦の
戦力壊滅に近い今、我を討つことによって体制の粛清を図ろうと
する意志の働きを…。
“という事は、キシリア、貴様も埒外ではないな…”
ギレンの大型エレカが全速で公道を突っ走った。
ズッ!薄いアスファルトの路面に亀裂が走った。続いて7機のモ
ビルスーツが6車線道路を埋めた。
「ウワーッ!」
運転手が悲鳴を上げて急ブレーキを踏む。大きく体を泳がしたギ
レンは左右を見て、己が包囲されていることを知った。
「総帥!出ませい!」
キシリアの声が右の赤いリック・ドムから発せられた。