▶「機動戦士ガンダムⅢ」レビュー9・兄殺しへ | ぐーすけとりきのブログ

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レーザー・ビームを逃れたキシリアのズワメルと二隻の重巡、三
隻の巡洋艦は、真一文字にジオン本国の空域へと突進していた。

最大戦速をもって最短距離を行けば二時間とかからない。そして
それを追尾する形で第二戦闘距離をとってペガサスと二隻のサラ
ミス艦が追従する。

共にア・バオア・クーにレーザーが直撃したのを観察した後、キ
シリアはズワメルを最大戦速にあげさせた。

「間違いなくSブロックを狙ったと思われます」

キシリアの傍に茫然と立ち尽くす将校たちは、次にキシリアがど
う出るのか、この怒りは、よほどのものであろうと怯えるのであ
った。

「…貴下らの命を…私に預けさせてくれまいか…これは命令では
ない。私の頼みだ…。私に同調してくれないものはこの艦を出て
構わぬ。

重巡の一隻もくれてやろう。連邦軍に投降するもいいし、事が終
わったらジオンに戻るもいい。少なくとも、これからの事に邪魔
をしてくれぬだけでも私は感謝する」

「?……」

ブリッジにい合わせた将兵は息を呑んでキリシアの次の言葉を待
った。

「シャア中佐は私に同調してくれた。後は貴下らの決断のみであ
る。私は…この戦力をもってギレンを討つ…」

この時、このキシリアに疑義をはさめる者がいるだろうか?キシ
リアがいなければ自分たちは助からなかったのだ。あのソーラ・
レイの輝きの中に消えていったはずなのである。

その上、数こそ少ないもののジオン軍最強のシャア中佐麾下の独
立300戦隊が先導をするというのである。

「閣下の…閣下のご意思に我々は従います。造反するものは一人
たりともおりますまい」

フォサイス大佐がブリッジの将兵を代表してキシリアの前に進み
出た。

「ン…。しかもあの木馬麾下の二隻の艦は援軍と理解するもいい

「援軍?彼らが我々に従うというのでありますか?」

「そうだ」

「なぜです?」

フォサイス大佐の不安気な言葉がキシリアの耳を打った。

「!…ニュータイプは超能力者ではない。一般の人間に敷衍(ふ
えん)される革新であると私は信じている。となれば、あの木馬
ニュータイプたちが一人ならずいるはずだろう?」

「我々と同じ仲間と考えてよろしいのでしょうか?」

「ふ、私は仲間という慣れあいの言葉は嫌うな。一時の同盟者と
理解する…総員、現在の配置のまま相互に休息をとれ!ジオン入
国に際して抵抗があると想像される。ジオンの第三戦闘ライン上
に至ると同時に戦闘体系をとる」

真に決起であった。

キシリアの凛(りん)とした声がブリッジをつきぬけた。