▶「機動戦士ガンダムⅢ」レビュー1・シャア、マスクをとる | ぐーすけとりきのブログ

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シャア・アズナブル中佐の独立300連隊の旗艦(といっても髄
伴艦などはいない)マダガスカルのエンジンの半分は死んでいた。
アムロの所属する部隊との交戦によって受けた損傷である。マダ
ガスカルが撃沈されなかったのは、艦長のブルース・マーシャル
少佐の判断より、シャアの判断によるところが大きかった。

シャアはクスコ・アル中尉のエルメスが沈められると同時に残存
兵力の退避を命じ、リック・ドムのシャリア・ブル大尉はよくそ
の命令を果たした。半壊した3機のガトル戦闘爆撃機を回収しつ
つ…アムロたちはガトル隊を全滅させたと信じている…2機のリ
ック・ドムともどもにマダガスカルに後退した。

そのわずかな時間を稼ぐために、シャアは“白い奴”ガンダムと
最後の交戦を試みつつ後退した。が、その時もシャリア・ブル大
尉のリック・ドムはシャアを援護するという離れ業を演じたのだ
った。ガンダムが2機のドムの挟撃を予測して後退したことは明
らかである。

コレヒドール暗礁空域は敵味方ともどもに幸いする。石っころを
盾としてマダガスカルは後退した。ガトルはこの後のすぐの作戦
には使えまい。残るはシャアを含めた4機のリック・ドムだけで
ある。

「ク、クランブル中尉のような方が亡くなり、自分が生き残るな
ど、まだ信じられないのです」

ルロイ・ギリアム中尉がコーヒーチューブを傍らのチューブ掛け
にひっかけながら、シャアとシャリア・ブルを見返した。彼こそ
若い。学徒兵である。

「いや、ルロイ中尉だから生き残った。君の金的(戦艦を墜とし
たモビルスーツのパイロットに与えられる呼称)は2つだったな
?まして若いという事は貴重だ」

シャアはヘルメットをとり防眩(ぼうげん)マスクさえ外した。
シャリア・ブル大尉は、おや?とそのシャアの素顔を見返した。
意外と険のない素顔に感嘆したのである。

シャアが放射する思惟はやや暗く、それでいて未来を見通したい
という欲望にシャリアは輝くような感動を受けることがある。

その二つの表裏する心を兼ね備えた人の顔の在り方が、シャリア
の見知った人々から類推した時、いかつさとか鋭さというものに
現れている。例えばそれがギレンであり、キシリアである。クス
コ・アル中尉もそうであった。賢しさがみえるのである。

確かにシャアの眼光は鋭いと言えるが、顔全体の印象はやわらか
くて、若者らしい精気こそ放ってはいるが、出来た人物という印
象で存在する。育ちのせいなのだろうか?それにしては経歴は安
易なものではなかったはずなのだ。ルロイ中尉などは、シャアが
端正な青年でありすぎるのに目を見張った。

「初めてだったか?マスクをとるのは?」

シャアは2人の視線に苦笑を返して、ちょっと安心し過ぎたかも
しれんな、と笑ってみせた。

「このマスクは個人的なこだわりがあってな…。見過ごしてくれ。
総帥の前でも外さないで済ませてきたのだが、諸君の前ではガー
ドはやめた」

ルロイはそのシャアの言葉に背筋を伸ばせて感動を示した。シャ
アが若いということへの反撥はとっくの昔になくなってはいたル
ロイだが、こうも貴公子然とした人物であったという驚きは、さ
らにシャアへの信頼を芽生えさせることになった。