▶「機動戦士ガンダムⅡ」レビュー8・罪を犯したアムロ | ぐーすけとりきのブログ

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クスコ・アルの描写は、最初、はしょろうかと思ってた。

 

ガンダム史上架空のパイロットだし、ゲームの画像を見ても

子供っぽかったので、省略しようと思ったのだ。

 

でも、圧巻のモビルスーツ戦。

 

ララァ、セイラ、から続く「愛しい人」

 

アムロの贖罪、

 

とストーリー上、必要なシーンがめじろ押しだったので

採用してみた。

 

クスコ・アルに幸あれ。

 

     ★        ★        ★

 

“死にたくなければ退れ!!”

アムロは拡散されるクスコ・アルの思念波の中へたたみこんでゆ
く。そして、それはアムロが想像する以上の力をもってクスコ・
アルの脳をうった。サイコミュの増幅機能がアムロの思念を拡大
していったのだ。

「!」

クスコ・アルの脳そのものへの痛みである。彼女の耳と眼と鼻孔
から体液が噴き出るような悪寒が走った。

「退れ!?退れだとっ」

クスコ・アルは必死で対抗をした。それはアムロの中に滑りこん
だ。

“知っている…!”

その感応が一瞬にしてアムロにクスコ・アルの栗色の髪を思い出
させた。あの笑ったときの蠱惑的(こわくてき)な唇を思い出さ
せた。

“クスコ・アル!あなたかっ!”

それはアムロの怒りであった。回想が生む羞恥心が裏返しとなっ
た怒りである。なぜ、クスコ・アルがエルメスに乗っていなけれ
ばならないのだ!その怒りがアムロにもう一つ思わせる。

“あの時、あなたと寝ようとは思っていなかった!”

羞恥心を拭おうとするアムロの嘘であった。

“寝たかった癖に!私を欲しいなら、そうおっしゃい。寝てあげ
たのに、坊や!”

ぼ・う・や?

アムロは逆上していた。坊やだと!?

“これが坊やのすることかっ”

アムロは叫んでいた。ガンダムのビームサーベルが最後のビッド
を割った。その閃光が、エルメスのコクピットの中のクスコ・ア
ルを浮き上がらせて、アムロに見せてくれた。

滑らかな肌が汗にまみれ、恐怖に震えている。そのクスコ・アル
が見えたのだ。

アルが笑ったようにこう言った。

「死んじゃえ!」
 
ガンダムのビーム・ライフルの照準がエルメスの正面に固定され
た。

ザザン!

ララァの時と同じだった。シャアの防御的な思念がアムロを直撃
する。

“やらせんぞ!ガンダム!”

“止めたら、シャア!あなたを殺す!俺はアルテイシア・ソム
・ダイクンに頼まれているんだ”

“アルテイシアにだと!”

“退れ!クスコ・アルは俺を、俺を侮辱するのだ!”

クスコ・エルは、坊やになら、いいわ……という妥協を知ってい
た。クスコ・アルの強度の思念の放出は、彼女自身を崩壊させる
前兆を含んでいた。しかし、それ以上にアムロから投入される敵
対バワーがクスコ・アルの平衡感覚をひきちぎっていったようだ
った。その揚げ句が、アムロという個体の認識であった

“やはり坊やだったのか!?”

それは唯一、クスコ・アルにとって平和なことであったかも知れ
ない。憎悪に固まった瞬間から、その闘争の本能のみでエルメス
とビッドを操って発狂して死んでゆくより、常人的といえよう。

少なくともアムロ・レイのビーム・ライフルならば、直撃して即
死させてくれよう。

“さよなら、坊や!”

その瞬間、アムロ・レイの強靭な思惟の流れが激流のように流れ
こんできた。続いてガンダムのビーム・ライフルの光芒(こうぼ
う)が拡がってくるのが見えた。

それをクスコ・アルが視覚して、死へ旅立つ瞬間、アムロは逆流
する光の流れを見たのだった。

“やめて下さい!や・め・て!”

クスコ・アルの見たものが、アムロに見える。クスコ・アルの美
しい母の腹部に銃剣がつきたてられた。連邦軍の兵士のようだっ
た。

“ヘッ、へへへ!”
兵士たちが笑っている。クスコ・アルの父親は撲殺されたらしい。
頭を血の海の中に埋めている。

“豚ァッ!!”

クスコ・アルの絶叫が銀色の流れの中に拡がってちりぢりに消え
てゆく。最後にアムロが見たものは、兵士の煙草やヤニで汚れた
歯ぐきだった。それは、クスコ・アルの見たもの……。

アムロは、

罪を、

犯したと分かった。

が、

すでに、クスコ・アルの体は焼かれていた。