ジオン公国のギレン・ザビ総帥は地球連邦政府に降伏勧告を出し
て、その交渉が南極で行われた。その場でギレン・ザビは言った。
て、その交渉が南極で行われた。その場でギレン・ザビは言った。
「場合によっては、ルナツーを地球連邦軍本部ジャブローにぶっ
つけておめにかけようか?」
この恫喝に地球連邦政府の高官たちは戦慄した。ジャブローとは
連邦軍の南米の地下にある中枢である。これを叩かれたら、ジオ
ンに隷属するしかなくなるのは明白であった無条件降伏もやむを
得ないとの大勢に傾きながらも、連邦政府の高官たちは、ギレン
・ザビの前で賛否の討論に十日を要した。
「連邦のガンは、あの軟弱さにある。あれこそ打たねばならぬ」
後事をキシリア少将に託したギレン・ザビは、そう言い残してジ
オンへ帰った。
その三日後、いよいよ降伏の調印を結ぼうとする日、レビル将軍
が地球に生還をしたのである。彼は、南米の大地下洞にある連邦
軍参謀本部ジャブローから『ジオンに兵なし』の放送をした。
「ギレンはルナツーさえ地球に叩けつけてみせると言う。何を根
拠にギレンはそれを言うのか?彼のイデオロギーが絶対真理であ
るからなのか?否!彼の独善でしかない。連邦軍が軟弱で腐敗堕
落しきっているのか?これも、否である。ジオンの脅威に勇敢に
闘った善良有能なる国民は、いまだ健在である。ではジオンは、
連邦に比べて強大な軍事力があるというのか?これもまた、否で
ある。
国民諸君!聞き給え!すでにギレンの言葉は脅しにしか過ぎない。
不肖、私は、幸いにしてジオンに捕らわれ、ジオン本国の実態に
触れた。ジオンの国民は疲れ切っている。ルナツーを地球にぶっ
つけるなどと、やってもらおうではないか!ギレン・ザビよ!」
レビル将軍は、あたかも、目の前のギレンを睨みつけるように言
ったものだ。
キシリアは、その放送を聞いてテーブルを蹴り倒したという。
地球連邦の世論は沸騰し、結局、南極で終結された条約は、化学
兵器と核兵器の使用禁止と相互に資源(主にヘリウム)供給のた
めに木星に出している輸送船団への不可侵条約を確認して終わっ
た。
とはいえ、レビル将軍も恵まれていたわけではなく、連邦政府
の中でレビル降格の話も取り沙汰されていたが、国民的英雄とな
ったレビルを連邦政府はどうすることも出来なかった。そして、
戦争は終結するチャンスを失って、膠着状態に陥ったのである。
連邦政府の優柔不断とジオンの意地が戦争を存続させてしまった
のである。が、ひょっとすると、死にすぎた人々の恨みが地球圏
を取り囲み、生き残る人々を取り込もうとしていたのかも知れな
かった。
後に、ギレンは、父のデギン公王に言ったという。
「殺しすぎましたな。地球圏運営のために人的資源は重要です」
「……かつて、ジオン・ダイクンは言った。人類そのものが変わ
るだろう、とな…。そうなるのなら、人類はおのずと宇宙の支配
者たる人類を生み出す」
「人類が、人類を生み出す?」
「…ニュータイプのな…」
「ならば、それは、私どもです」
「奢るなよ、ギレン。ジオン・ズム・ダイクンのジオン創業の志
とは違う」
「優良種たる我らが支配する事。増えすぎた人類をコントロール
して、自然の摂理のバランスの中で永遠に繁栄するのに、私ども
では不足だと?」「不足だな。権力欲望型の人間は、しょせん、前時代のものだ」
「私が?」
「知っているだろう。アドルフ・ヒトラーという名前を?……
貴公は、そのヒトラーの尻尾だな」
「父上…!」
「ニュータイプは、違うのだ」
ギレンは、この時、かすかに父に対して殺意を抱いた。
アニメでは、ギレンは『システム』稼働により、父殺しの汚名を
ひっかぶる。それを、反ギレンの旗のもと、キシリアが粛正する。
ガルマ、ドズルも戦火に散る。キシリアもシャアに…、ザビ家は
呪われた一族であることを確信する1ページであった。