春秋時代、楚には姓は「卞(べん)」名は「和(か)」という人
物がいた。
物がいた。
卞和は山中で名玉の原石を見つけた。
卞和はこれを楚の麗王に献上した。しかし王はその原石が本当に
名玉なのかどうかわからなかった。
麗王は鑑定者にそれを見せたが鑑定者もわからなかった。
鑑定者:「これはただの石ころにござりましょう。」
卞和:「とんでもございませぬ。これは天下に二つとない名玉に
ございます」
鑑定者:「黙れ黙れ、これはただの石ころじゃ。麗王さまを騙し
て恩賞にあずかろうとは汗せぬかたり者じゃ」
麗王:「わしを騙そうとは不届きしごく、足斬りの計にいたせ」
卞和:「ひえーっ」
「王さま、それは石ころではありませぬ。まことに名玉に
ございまする」
だが、刑は容赦なく執行された。
廷吏:「ほら、石ころは持って帰れ」
卞和は泣く泣く帰っていった。
麗王が死んで武王が即位した。
卞和は再びその石を武王に献上した。
武王もその石を鑑定者に見せた。
だが、その鑑定者もただの石くれだと鑑定した。
武王は怒り、残る片足を斬るよう命じた。
卞和は残る片足をも斬られることになってしまった。
こうして卞和は、見るも無惨な姿で家に帰された。
やがて、その武王も死に、文王が即位した。
これを聞いた卞和は名玉の原石を抱いて山中に入った。
そして泣き続けた。自分の言うことを誰も信じてくれなかったこ
とが悲しかったのである。
文王:「なにっ、山の中で泣き続けている老人がいると申すのか
。よし、どのような理由で泣き続けているのか聞いて参れ」
迷信がはびこり、吉兆凶兆を気にする時代である。即位したばか
りの文王は気になり山中に人を行かせた。
使者:「おお、あの老人じゃな」
「これこれ、ご老人よ、噂に聞けばここで毎日泣いている
とか…なぜそのように悲しむのか、理由を教えてくださらぬか」
卞和::「わたしめの申すことをだれも信用してくださいませぬ。そ
れが悲しくて泣いているのでございます」
「この石は天下の名玉…麗王さまにも、武王さまにも献上しよう
といたしましたが、ただの石ころと言われ罪に問われて足を斬ら
れました」
「この度、文王さまがご即位なされましたお祝いに、この名玉を
献上したいのですが、またしてもただの石ころだといわれたらど
うしようかと…わたしの言葉が信じてもらえなかったらどうしよ
うかと…それが悲しいのです」
使者:「そういうことであったか。よし、わたしと一緒に宮殿に
参るがよい。本当か嘘かは磨かせてみればわかろう」
こうして卞和は宮殿へ向かった。
文王はさっそくその原石を玉磨きの職人に磨かせた。
すると卞和の言葉通り、すばらしい壁が出来上がった
文王:「おお、まさに天下に二つとない名玉じゃ」
「卞和よ、そちの命がけの誠実さを世に知らしめるため、そちの
名を取り、これを「和氏の壁」となづけよう。
さらに我らの不明を詫び、ただちに多大の恩賞をさずける」
これが「和氏の壁」の由来である。