▶「シャーロックホームズ・絹の家」レビュー A・ホロヴィッツ | ぐーすけとりきのブログ

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本書は、サー・アーサー・コナン・ドイル作品の著作権等を管理
するコナン・ドイル財団から認定された新しいホームズ長編であ
る。(第61作目)

ホロヴィッツは今までにない、凶悪な敵を登場させ、ホームズを
危険な罠に陥れれる。敵は強大で組織的で、詳細は不明である。

以下、ネタバレ注意。

ホームズが何をされるかというと、殺人事件の容疑者として逮捕
され、監獄に拘留されるのである。

アヘン屈で、調査中に、ある、女性が殺され、ホームズは煙硝か
おる拳銃を手に倒れていた、ワトソンが駆け寄ってみると、警部
が指揮をとり、証拠集めが行われ、高名な貴族、医者、実業家な
ど、何の横のつながりがない人たちが、ホームズがやったと証言
した。(警部はレストレイドではない)

ワトソンはレストレイドと共にボウ街の警察裁判所に赴く。
(以下ワトソンの叙述)

ボウ街の警察裁判所にはそれまで一度も行ったことがなかったが、
レストレイド警部とともにその威容を誇る堅牢な建物へ近づいた
とき、私は不思議と親近感を覚えた。自分はここへ招き寄せられ
る運命だったのだ。

これまで私たちが捜査に乗り出した事件は、しばしばここが終着
点だった。だが同時にここは、中央刑事裁判所の、さらにはその
先の絞首台へと続く出発点でもあるのだ。犯人はほぼ例外なく、
化けの皮をはがされて、または悪事を暴かれて警察に捕まったと
ころで退場し、そのあとどうなったかについては触れられていな
いのだ。

どうやら私は、その後の運命は読者には関係ないと判断して、切
り捨ててしまったらしい。まるで、彼らは悪事をはたらく役割の
ためだけに存在し、事件が解決してしまえば。もう鼓動する心臓
や定まらない魂をもった人間ではなくなるかのように。

この警察裁判所のスイングドアを通り抜けて、薄暗い廊下を歩い
て行くときに味わったであろう彼らの恐怖や苦悩に、私は一度た
りとも思い至らなかった。悔恨の涙を流した者や、神に祈って救
いを求めた者はいただろうか?最後まで抵抗した者もいたので
はないか?そういうことを全く気にも留めず、事件記録の物語か
ら排除していたのだった。

しかし、12月のあの日を、ホームズがそれまで自在に扱ってき
た警察当局を自ら敵に回すことになった、吹きさらしの鉄のごと
く冷たい時あの日を思い返したとき、私は物語の中の犯罪者たち
に対して誠実ではなかったかもしれないと感じた。

私が書いてきたのはいわゆる探偵小説だ。そして主人公ははから
ずも探偵の最高峰に君臨する人物であり、彼の人となりを描くう
えで敵対した悪漢どもや女性たちが大いに役立ったというのに、
私は彼らをないがしろにしてはいなかったか?警察裁判所の入り
口をくぐりながら、全員の姿が脳裏によみがえり、彼らが私を呼
ぶ声が聞こえるようだった。

「ようこそ、ワトソン。これであんたも俺たちの仲間入りだな」

「絹の家」という恐ろしい組織が、ホームズの命を奪おうとして
いた。

ワトソンは、高名な貴族から、ホームズ脱出の方法を告げれられ
る。

「では、はっきり言おう。ホームズ君の命は大きな危険に脅かさ
れている。わしの言う通りしなければ、48時間以内に死ぬだろ
う。君たちを救えるのはわしだけだ」

高名な貴族は、独房の鍵をワトソンに渡す。

しかし、ホームズの独房にたどり着くのには9つの鍵付きの扉が
たちかだかっていた。

ワトソンはホームズの脱獄を助けることができるのか。ホームズ
は脱獄できるのか?

モリアーティにも勝るとも劣らぬ、凶悪組織「絹の家」とは?

物語は、疾走感をもって、中盤を走り抜け、風呂敷を閉じるかの
ように、一つ一つがまとまって終わりを告げる。

コナン・ドイル財団、公認のものとしてふさわしいと思う。

執筆にあたって、著者アンソニー・ホロヴィッツはコナン・ドイ
ルによるホームズ物語の精神を尊重し、それを作品に息づかせる
ため、十箇条のルールを自分に課した。

1:度が過ぎた派手なアクションシーンはいらない。
2:ホームズの恋愛を描いてはならない
3:ホームズとワトソンの関係に同性愛を持ち込んではならない
4:有名な実在の人物を登場させてはならない
5:薬物禁止──少なくともホームズが自ら使用するのは不可。
6:調査は徹底的に。
7:19世紀らしい文章表現で。
8:殺人の数は多すぎてはならない。
9:ホームズ物語の主な登場人物を積極的に、なるべく意表をつ
  く形で入れる。
10:本書の宣伝のために鹿撃ち帽をかぶったりパイプをくわえた
  りしている姿を撮影させることは断じてしない。