陸上競技では、トラックを左回りに走る。
オリンピック、世界陸上はもちろんのこと、大学、高校、中学の
陸上大会から幼稚園の運動会まで、トラックを右回りに走る大会
は世界のどこにもない。(例外:競馬場)
ところが──、1864年に世界ではじめて行われた陸上競技会
(イギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学の対抗戦)
では、トラックは右回りだった。
この右回り走行はしばらく続き、第1回オリンピックのアテネ
大会でも、それは踏襲された。
左回りが主流になったのは1908年のロンドン・オリンピック
からで、完全に左回りに統一されたのは、1912年に国際陸上
競技連盟が創設されてからだ。
国際陸上競技連盟は、意味もなく右回りを左回りに変えたのでは
ない。
人間の足には役割分担があり、右利きの場合は左足が「支持作用」
を担当し、右足が「運動作用」を担当する。
従って、左回りにトラックを走れば、支持系の左足が体重を支え
て運動系の右足が地面を蹴る形になり、右回りよりも記録が伸び
びる──。
つまり右利きのアスリートを前提とした科学的理論が、トラック
を左回りに変更した理由というわけである。