かつて、横綱・栃錦は、多彩な技をもって「名人横綱」と呼ばれ、
横綱・若乃花(初代)は、気迫にあふれた相撲をもって「土俵の
鬼」と呼ばれた。
どちらも小兵ながら、両雄の対決では、強靭な足腰によって土俵
際のスリリングな攻防が展開された。
それが、1950年に日本中を沸かせた「栃若時代」のダイゴ味
である。
なかでも、栃錦が魅せた、徳俵に親指一本残しての「うっちゃり」
は、“元祖サーカス相撲”といってもいいだろう。
ところが、最近になって、その「うっちゃり」をとんと見かけなく
なった。
実際、「昭和26年から28年までの3000番」とちょっち
古いが「平成6年から8年までの3000番」の決まり手を比較
した三宅充氏に統計によると、前者では95番あった「うっちゃり」
が、後者ではたったの1番になっている。
また、「内掛け」は58番から3番に、「つり出し」は178番か
ら28番に激減している。
その理由は、悲しいかな、力士の肥満化にある。
逆に言えば、以上の3つの技は、栃錦と若乃花のような軽量で俊敏
な力士でなければ使いこなせないわけだ。