明治45年7月29日、明治天皇が61歳で亡くなった。
その17分後に皇太子の嘉仁(よしひと)親王が践祚
の儀式を行って大正と改元された。
大正元年9月13日は明治天皇のご大喪の日だった。
乃木希典大将夫妻は、大喪が行われた日の夜、明治
天皇の御真影の前で自刃の殉死を遂げた。
これは多くの国民に強烈な衝撃を与えた。
陸軍の軍医総監で軍医局長、さらに作家であった森
鴎外は、乃木将軍の殉死に触発されて「興津弥五右衛門
の遺書」という作品を5日間で書き上げて中央公論へ
届けた。
これは乃木大将と似た理由で殉死した細川という藩士
の物語で、鴎外の最初の歴史小説となった。
ドイツに留学して医学を研究、小説も「即興詩人」、
「キタ・セクスアリス」など
現代ものを手がけていた鴎外だったが、これ以後、
歴史小説以外の作品はほとんど書かなくなったという。