高級料理店に行くと活け造りと称し、まな板の
上で暴れまくっている活魚をそのままさばいて
刺身にすることがある。
ところがこの刺身、さぞや美味しいだろうと口に
入れると、期待していたほどの味ではなくて
がっかりした、という経験をすることが多い。
これは、死ぬ直前に激しく動いた魚から、うまみ
成分が減少しているせいである。
魚のうまみ成分にには、大きく分けて「グルタミン酸」
と「イノシン酸」がある。
このうちグルタミン酸は最初から魚の身に含まれている。
一方、イノシン酸は魚が死んだあと、魚の身に含まれる
「ATP」という物質が分解することによって生成される。
ところが、魚が激しい運動によってエネルギーを消費する
と、このATPが急激に分解され身の中に残らなくなって
しまう。
それをそのままさばいても、イノシン酸が少ないために、
味が落ちていまうというわけだ。
魚をもっとも美味しい状態で食べるには、漁獲後すぐに
魚の頭を切り落として、暴れさせずにしめるのが一番。
ATPの消費が少ないため、身には旨味成分がたっぷり
含まれているはずだ。
ぐーすけも、中学頃に川へ魚釣りに行っていた頃
やたら釣ったフナを、エラから頭を切り落として
頭を口を上にしてならべていた奴がいた。
しかしフナはプクプクして、いっこうに死なない。
難儀なもんやなぁ、と思ったことだった。